■自分に万一のとき、何が起きるかと考えて、保険金額を決めた社長の話
社長から、保険の見直しをしたいのでとお話を頂いてから、少し時間が空いての、ご提案だった記憶しております。
お伺いして、開口一番、遺族に、保障が残ればいいと思うので、3000万円くらいの保険でいいですかねという言葉でした。
事業を始めて、十数年。若さに任せて、走ってきた社長でした。遅めの結婚と言っても、最近では珍しくありませんが、40歳を過ぎてから子宝に恵まれ、ご多用のところ、奥様からせっつかれて、見直しとあいなりました。
社長は、社長に今、万一のことがあったとき、どんな事態になると、予想されていますか?まず、解散されると思いますか、それとも、取引先やお客様のために、事業を継続されると思いますか。事業を継続されるのに、奥様が社長になられるケースもあれば、従業員のどなたかを代表にし、奥様がオーナーとなられるケースなども考えられます。
多くの場合は、負債の関係などから、金融機関が、奥さんに社長になってほしいと言ってくるようで、そういう時は、亡くなられた社長の思いとは、異なった結論になってしまうようなのです。
どなたかが事業を承継したとき、売り上げは、どのくらい落ちるでしょうか。売り上げが戻るのに、どのくらいの期間がかかるでしょうか。従業員は、全員そのままでしょうか。何人くらい、不安に思って辞めてしまうでしょう。そのとき、退職金の制度などを設けていますでしょうか。借り入れは、今の金額を維持できるでしょうか。保険金で減らしたほうがいいでしょうか。売り掛けで社長以外の方では回収が難しい先などありませんか。
もちろん、考えても、全てそうなるわけではありません。また、今の経営状態を無視し、高額の保険料を無理してでも支払い、あらゆるリスクに対応しようとしても、これも本末転倒です。ご遺族が、何もがんばらなくても、左団扇になるほどの巨額な保険金額というのも、何かおかしいと思います。
全てを保険で解決しようとすることではなく、従業員をどう育て、とどのような関係を築いておくと、社長不在と危機に、耐えられるかですとか。日ごろから借り入れを減らす努力をされておかれるとか。社長にしかできない聖域を減らして、仕事の標準化を進めておかれるとか。日常的に社長が経営努力されていることというのは、いざというときのリスク規模を、小さくしておくことと表裏一体だったりするのです。
社長と相談して見直した内容は、個人で支払っていた毎月の約5万円の保険料は、保険料控除の範囲にまで減らして、学資保険など、資産性の高いものだけにしました。年金保険料控除は使っていませんでしたので、月一万円の年金保険に加入して頂きました。医療・介護保険料控除は、奥様の保障に使いました。それ以外の保障については、基本、法人契約で保障し、全て経費になるように設計してゆきました。
万一の際、500万円×法定相続人の数までの死亡退職金や、業務中の怪我などを原因とした死亡には給与の36ヵ月分、業務外の病気や怪我などを原因とした死亡には給与の6カ月分の弔慰金を支払うとき、役員の場合は、定款にその記載がない場合、株主総会で議決を持って支払うことから、100%社長が株式を持っていらっしゃったので、奥様がそのほとんどを相続した場合、奥様の意思で、法人からそれらの金額を無税で拠出できることをご理解して頂くことが、最初のスタートになります。
冒頭の死亡保障の金額は、1億円となりました。現在の会社の規模から考察すると、妥当な金額だと思います。会社が発展してゆく過程で、更に今の掛け捨て型のものから、資産性の高いものへと、保険金を大きくしながら、変化をさせて行っていただく事、その状況をうかがうために、毎年、年に一回決算期にお伺いすることをお約束させて頂きました。
「えっ!年に一回しか来てもらえないの!?」という社長に
「保険屋に、毎月来てもらいたいですか?」と伺いましたところ、
大きな声で笑いながら、「それもそうだ!」とおっしゃり、
「保険の話を抜きにして、たまには食事でもしましょう」というお話となりました。
保険の設計を判りにくくさせている要因のひとつが、二次元ではなく、三次元の思考であることです。われわれ専門家は、三次元のものに、更に色々なことを加えますので、頭の中は、四次元だったりします。
何かしらの原因は、それ単体で現象となるのではなく、いろいろなことに影響を及ぼし、複雑かつ、想定外の大きさになって、不都合な現実へと変化してゆくものです。
私たちは、四次元の頭で、この不都合な現実を読み、お客様が本当に安心できる状態を、常時、作ってゆかなくてはならないのだと思っています。