書籍のネタシリーズ ストーリー1  | 百年企業を創る!情熱の【社長の保険】

百年企業を創る!情熱の【社長の保険】

【社長の保険】は事業保険とは似て非なるものです。

■息子には、息子の人生があるから・・・、と事業を閉じる予定だった社長の話

 「いらっしゃい。良く来たね。待っていたのだ。とりあえず昼ごはんを食べに行こう!」

 社長に満面の笑みで迎えられました。

 高層ビルのレストラン街に行くと、さっさと注文を終わらせて、社長は待ちかねたように話し始めました。

「いやぁ~。誰かに言いたくて、うずうずしていたのだけども、社員に話すわけにもいかないし、かみさんに話しても、わかってくれないし、稲井さんが来るのを待っていたのだよぉ」

 満面の笑みで話されているので、何かしら深刻なことではなさそうだということは、理解できましたが、誰にも話せないというような大事な話を、自分のような外部の人間に、簡単に話していいのだろうかと少し危惧したが、保険屋は、家族構成からお体の状態、会社の年商に、社長の年収までの、かなりセンシティブな情報を打ち明けて頂いているし、会社の問題点や、社員の人事考課まで、相談されることもあると思いなおした。

 ちょっとドキドキしながら、笑顔で対応していたところ、満を持して、社長が話し始めました。


 「実は、この前、初めて息子と新規開拓の営業に行ってさぁ。もう楽しくてさぁ。」
 「息子の前で、楽しい素振りを見せられないし、家に帰って、かみさんに、何?ニヤついているの?と言われたので話してみたのだけれども、馬鹿じゃないの?と一笑されるし、この気持ちを誰かに判ってもらいたくて、待っていたのだよぉ」ということでした。

 社長の満面の笑みは、娘二人の自分には、とても羨ましい話でもありましたが、本当によかったと、心から思った瞬間でもありました。

 社長が独立をされたのは少し遅めの四十台だったそうです。十数年経って、会社を成長させ、支店も出し、安定し始めた頃、人を介してお会いさせて頂きました。65歳くらいを目処に、会社を売却するか閉じる予定で、その際に、退職金見合いとして、1億円程度の資金を残したいという依頼でした。

 本来、結果的に、会社を閉じるとか、売却すると言うことはあったとしても、経営計画においては、継続・承継し、発展する方向で考えなくては、企業の発展はおぼつかないため、もう少しお話をさせて頂きたかったのですが、決算までに時間がなかったことと、社長の事業意欲からして、売却とか解散は、とても想像がつかなかったので、保険料を全額経費にしながら、65歳時点で解約すると、支払った保険料の累計の100%近い解約金のある逓増定期保険に加入して頂きました。

 その後、お子様が二人いらっしゃり、当時まだ学生さんだったこと、自分の後継者として育てたいと思っていた社員が、若くして癌で亡くなられたことなどを伺いました。

 当社では、毎年決算月にお伺いさせて頂いて、その期の決算対策や、次の一年に向けて保障をどのようにするかなどを、打ち合わせさせて頂いております。
その打ち合わせの際に、経営のいろいろなお話を伺うのが、私の楽しみでもあるのですが、こちらが思っている以上に、その時間を楽しみにしてくださっている社長もいらっしゃり、社長も、楽しみにしてくださっていたそうでした。

 後継者の方が集って、切磋琢磨することを目的とした会などとご縁を頂き、そこで見聞きした、後継者の思いや考え方などを、社長にお話したことがありました。
また、大学の頃の同級生が、いずれ自分が父の意思を継がなくてはと思っていると熱く語る姿などを御伝えしました。

 自分も長男ですが、やはり、長男として生まれると、自然に、家を継ぐ→家業を継ぐ→親の面倒、家族の面倒を見るといった日本人的な発想をいつしか持つように思います。

 きっと、ご子息も、社長の背中をご覧になって育ったのであれば、そんな思いをもたれているはずですと、毎回のようにお話しておりましたところ、長男が入社し、次男も入社し、いつしか、事業を承継する体制が出来上がって参りました。もちろん、自分が話したからということではないと思いますが、私としては、とても嬉しかった。

 ところが、これでは終わりませんでした。

 二人の息子さんに、平等に株を引き継がせると言い始めたのです。これには、猛烈に反対しました。二人とも可愛いのが親心。私も娘が二人おりますので、同じようにしてやりたいと思う気持ちは、痛いほど良くわかります。下の子には、色々辛抱させたなんて思うところがあると、更に厄介です。

 株を50%ずつ所有されても、ご兄弟は仲がいいですし、次男は長男を立てる気質ですので、経営に問題が起きることは、少ないと思います。しかし、次の世代に株を譲るときどうなるでしょうか。更に次の世代ではどうでしょう。

 実際に、四代目の社長が、持分30%で、大変な思いをしているお客様もいらっしゃいます。また、土地の謄本で、甲区に、なんと24名も所有者が記載されている状況を見て、自社株と同様の事情を感じました。おそらく、もうどうにもならなくなったのだと推察します。良かれと思ってしたことが、後々争いの原因を作ってしまうということは、とても残念で、悲しいことです。

 理想は、後継者を育てることだと思います。後継者を育てるとは、会社の繁栄と、一族の繁栄を第一に考え、行動できるリーダーを育てることです。一概には言えませんが、資産の分配や資産が生み出す果実の分配をも、次のリーダーに、安心して委ねられるくらいに、育てておけば、全てが安泰となるのではないでしょうか。

 「あなたが言ってくれたから、長男にほとんどの株を譲ることにしたんだよ」と後日、社長がおっしゃるほどの剣幕で、どうやら、お話をしてしまっていたようでした。

 さて、現在、事業承継真只中です。

 10年来の友人でもある税理士の先生を紹介させて頂き、分社方式で自社株の問題にあたってもらっています。財務改善も同時平行して実施中です。

 保険はと申しますと、PL保険、海外旅行保険(出張時)、傷害保険、使用者賠償保険といった、損害保険も、全てお任せ頂いております。生命保険は、特定疾病定期保険と医療保険について、役員・従業員全員を被保険者とし、受取人を被保険者とする福利厚生型の加入をして頂いております。これは、社長が息子のように可愛がっていた社員を亡くされて以降、会社として、何かしてやりたいという思いの表れです。

 そのほか、社長には、逓増定期保険と生活障害定期保険、長男には、同じく、逓増定期保険と
長期平準定期保険等に加入して頂いております。

 数年後、新社長と、色々なお話ができることが、今から楽しみです。