22.8.3
ジン
倉庫教室に入った。真夏の夜、カビやホコリの匂い。いくつかの場面が頭の中を横切る
校長の靴が輝く様。ドアの外に立っていたナム、ホソクを無視して1人で帰った最後の日。
突然の頭痛や寒気。苛立ちや恐怖、複合的な感情が痛みのように押し寄せた。ここから抜け出さなければ。
" ヒョンもう少し努力して下さい。ここであった事を忘れないで下さい "
テヒョンの手を払いのけ背を向ける。猛暑の中を何時間も歩き回り、疲れ果てた他の友達は何を話していいのか分からない表情。
記憶...僕にとって意味のない話。あんな事をした、あんな事があった、僕達が一緒に何かをしたという話。そうした気もする。
記憶は理解や納得ではなく、経験は聞いて把握するものではない。心や頭、魂の中に根を打ち込まなければならない。ところが僕にとって記憶は悪い事ばかり。苦しませ逃げ出したくなる事。
帰ろうとする僕とそれを止めるテヒョンの間でいざこざに。テヒョンと僕の足がもつれ、ふらついた。
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猛暑の中、何時間も歩き回ったらしい。ジンの記憶のくだりは、記憶を忘れようとしたか忘れているように読める。
テヒョンが、もう少し頑張って・忘れないでと話すので、色々な場所に行き上手くいかず、ジンの記憶を取り戻そうと歩き回り、アジトに来たとでもいうよう。
※5/22にもめた後は疎遠な様子だったから、親身なテヒョンに違和感。すぐ和解出来たか、ジンの様子がおかしい為?
何が起きたのか分からなかった。立ち込めるホコリ、息をすることも出来ず咳が出た。
" 大丈夫ですか? "
壁だったところが崩れているのが目に入った。壁の向こうに広々とした空間があった。
" 僕達がどれだけ多い時間をここで過ごしたか... "
壁の向こうにこんな所があるとは。キャビネットが一つ立っている。ナムがキャビネットのドアを開けた。ノート1冊。ナムが最初のページをめくった。父親の名前があった。
ナムからノートを奪い取った。驚いた顔をしていたが気にしなかった。
父の筆跡で書かれたノートは高校生の時、友達と経験した出来事の日誌だった。1ヶ月ずつ飛んでいたり、血痕のようなものがこびり付いて読めないページもあった。
父は僕と同じ経験をしていた。失敗や過ちを犯し、挽回し乗り越えようとした。失敗の記録だった。結局、父は放棄した。記憶を消し、目を背け、回避した。親しい友人すら捨てた。最後のページはインクが散り真っ黒だった。インクは最後のページまでもに浸透し、そのシミが父親の失敗を代弁しているようだった。
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アジトの壁の奥にもうひとつ部屋があった。
キャビネットには父が残した記録のノート。
高校時代の友達との経験、過ちや失敗の繰り返し挽回しようとした記録。
どれくらい時間が経ったのか全ての感覚が薄れていく。日が昇る直前だった。弟達はあちこちで座ったまま眠っていた。壁面を見上げた。どこかに父の名前が書かれているのを見た事があった。その下に、全てはここから始まった 。
インクの上に薄く文字が見えた。夜でもなく明け方でもない時間。余白と空欄の間に父が忘れる事にした、記録しない事にしたものが残っていた。指の下で父が経験した多くの時間や恐怖、絶望と微かな希望が渦巻いていた。父の屈折した魂の地図が残っていた。涙がこぼれた。
弟達は眠ったまま。一人一人眺めた。もしかしたら、僕達はここに戻るべきだったのかもしれない。ここから僕達の全てが始まった。一緒に何かする意味と一緒に笑う喜びを知った僕。犯した最初の過ちが、1度も自分の口で認めなかった最初の間違えが、開いた傷口のように残っていた。全てが偶然ではないだろう。僕は結局ここに至らなければならなかったんだ。だからこそ、犯した過ちによって経験した苦痛と苦悩の意味を見つけ、初めて自分の魂の地図を探す一歩を踏み出すことができるようになるんだ。
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父とジンは同じ経験をした。父も、いわゆる不幸を終わらせようとしていた。タイムリープしていた?
ジンの父は、結局は放棄し、記憶を消して親しい友人さえ捨てたと。 ノートには絶望感と微かな希望が渦巻き、屈折した魂の地図が残っていると。父のように放棄したら、ジンが知る今の父の姿はジンの成れの果てととれる。
一緒に何かをする意味や笑う喜びを知った僕、過去の過ちを認めなかった最初の過ち、全てはここから始まった、とある。
犯した過ちは多分、仲間に正直に話さなかった事。魂の地図、は分かりにくいが、地図なので道しるべ。
何故、犯した過ちに苦悩するか、仲間の存在の意味を知ったらやっと前に進める(スメラルドの女性に対して良い人になっても苦悩は晴れない)、と悟るまでの流れと読んだ。