みなさん、こんにちは。花

 

「熊本地震」にて、お亡くなりになられたかたに黙とうします。また、被災されたかたに謹んでお見舞い申し上げます。

 小職の母の生家(氷川町宮原)は全倒壊、幸い、住んでいる親戚は脱出できましたが、大きなケガを負いました。ガーン

 今回は、日奈久断層(全80キロの長い断層帯)の南側が動いたとの報道ですが、まだ、全容は解明されていません。ガーン

 

日奈久断層帯と布田川断層帯の地図

熊本地震の「未破壊区間」と警固断層帯の「割れ残り」を同じ物差しで整理し、福岡市で起きた場合の実務的な影響まで分けて確認します。公的な被害想定と最新の断層評価を優先します。

☆結 論

熊本地震後の日奈久断層帯と、福岡県西方沖地震後の警固断層帯には、どちらも大地震で断層帯の一部だけが動き、隣接区間が残ったという共通点があります。

ただし、福岡の警固断層帯南東部は、単なる郊外の「割れ残り」ではありません。福岡市中心部から南部の人口密集地を縦断する直下型地震の震源になるため、同規模の地震でも、医療・交通・都市機能への影響は熊本より集中しやすいと考えられます。

 

1.熊本と福岡の「割れ残り」の比較

項目

熊本地震・日奈久断層帯

福岡・警固断層帯

既に動いた区間

2016年に日奈久断層帯北部と布田川断層帯が活動

2005年に玄界灘側の北西部が活動

残っている主な区間

日奈久断層帯の中部・南部

博多湾から福岡市、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市に延びる南東部

断層の性質

主に右横ずれ

主に左横ずれ、南西側隆起を伴う

想定規模

区間によってM7級

南東部単独でM7.2程度

都市との関係

熊本県南部の都市・集落に近い

福岡市中心部と都市圏を直接通過

最大の問題

次にどの区間が破壊するか不明

人口・病院・鉄道・行政・商業機能が断層周辺に集中

 

2016年熊本地震では、4月14日のM6.5の地震後、約28時間後に布田川断層帯でM7.3の本震が起きました。地震本部の研究でも、震源域には複雑な断層構造があり、未破壊領域が残っているとされています。したがって、「一部が動いたから、しばらく全体が安全」とは言えません。

 

警固断層帯は全長約55キロで、2005年に動いた北西部と、博多湾から筑紫野市までの南東部に区分されています。南東部は約3,400~4,300年前から大きく動いていない可能性があり、平均活動間隔は約3,100~5,500年と評価されています。

 

南東部単独の場合はM7.2程度、今後30年以内の発生確率は0.3~6%とされ、国内の主要活断層の中では高いグループに入ります。2005年の地震が南東部の活動を促進した可能性も指摘されています。

ただし、ここで重要な注意があります。

 

福岡県が2025年に公表した最新の大規模被害想定は、南東部だけのM7.2ではなく、警固断層帯を連動させたM7.7の厳しいケースを採用しています。 以下の被害数字は、原則としてこの県全体の最悪想定です。

 

2.福岡で発生した場合の全体像

最新想定では、警固断層帯連動地震について、冬の午後6時・強風という厳しい条件で、次の被害が想定されています。

  • 最大震度7
  • 全壊・全焼:約3万6,000棟
  • 半壊:約8万5,000棟
  • 死者:約1,800人
  • 負傷者:約1万2,000人
  • 発災当日の避難者:約31万9,000人
  • 災害関連死:約800人

これは福岡県全体の推計であり、福岡市だけの数字ではありません。また、発生時間、風、火災、在宅人口によって数字は大きく変わります。

県の想定では、前回調査より震度6弱以上の地域が広がり、全壊・全焼棟数は約1万8,000棟から約3万6,000棟へ倍増しています。

 

3.建物・人的被害

強く揺れる地域

特に厳しいのは、断層に近い次の地域です。

  • 福岡市中央区
  • 福岡市南区
  • 博多区・城南区・早良区の一部
  • 春日市
  • 大野城市
  • 太宰府市
  • 筑紫野市

場所によっては震度7、広い範囲で震度6強または6弱が想定されます。福岡市も、南東部地震では2005年の福岡県西方沖地震より、はるかに多くの建物倒壊と犠牲者が予想されると注意喚起しています。

被害を大きくする建物

特に危険なのは、次の建物です。

旧耐震の木造住宅

1981年以前の住宅、増改築を繰り返した住宅、重い瓦屋根、壁の少ない住宅は倒壊リスクが高くなります。

1階が駐車場や店舗の建物

ピロティ構造や、1階だけ壁が少ない建物は、1階に変形が集中する「層崩壊」が問題になります。

古い中高層ビル

倒壊しなくても、外壁、窓ガラス、看板、天井、設備、間仕切り壁が落下する可能性があります。

断層直上の建物

耐震性能が高くても、地表に1~2メートル規模の横ずれが生じれば、基礎、道路、配管そのものが切断される可能性があります。警固断層帯南東部では、地表付近で約2メートルの左横ずれが想定されています。

液状化

博多湾岸、埋立地、河川沿い、旧河道、砂質地盤では液状化が問題になります。

建物が倒壊しなくても、

  • 建物が傾く
  • 道路が波打つ
  • マンホールが浮く
  • 上下水道管が破損する
  • 港湾施設や物流倉庫が使えなくなる

といった被害が起きます。

 

4.医療への影響

発災直後

最大の問題は、負傷者が一斉に病院へ集中する一方で、病院自身も被災することです。

想定負傷者は県全体で約1万2,000人です。これに軽傷者、持病悪化、透析患者、在宅酸素患者、避難中の体調不良者が加わります。

病院では次のことが起きます。

  • 救急外来に患者が殺到
  • 手術室や病棟の天井・設備が損傷
  • エレベーター停止
  • 電子カルテや通信障害
  • 水不足による手術・透析・消毒への支障
  • 医師、看護師、薬剤師が出勤できない
  • 救急車が渋滞や道路損傷で到着できない

建物が無事でも、断水すれば病院機能は急速に低下します。最新想定では警固断層帯地震による断水人口は約17万人、下水道機能支障人口は約9万人です。

重症者の搬送

福岡市中心部の大病院が機能低下すると、市内だけで患者を処理できず、

  • 北九州市
  • 久留米市
  • 佐賀県
  • 熊本県
  • 山口県

などへの広域搬送が必要になります。

しかし、高速道路、空港、鉄道、港湾も被災するため、通常の救急搬送計画どおりに進まない可能性があります。

災害関連死

最新想定では、直接死とは別に災害関連死が約800人とされています。

特に危険なのは、

  • 心臓病
  • 脳血管疾患
  • 糖尿病
  • 透析患者
  • 抗血栓薬を服用している人
  • 要介護者
  • 高齢者
  • 在宅酸素利用者

です。

災害関連死は、地震そのものではなく、薬の中断、脱水、寒暖差、車中泊、感染症、深部静脈血栓症、治療の遅れなどで生じます。

 

5.電気・水道・ガス・通信

最新想定における警固断層帯地震の県全体の被害は、おおむね次のとおりです。

インフラ

想定

停電

約4万4,000軒

断水

約17万人

下水道の機能支障

約9万人

固定電話等の不通

約2万4,000回線

都市ガス供給停止

約112万2,000戸相当

LPガス漏えい被害

約5,000件

電気

送電網は比較的復旧が早い場合がありますが、建物内の受電設備や変圧器、分電盤が壊れると、地域で送電が再開しても建物は停電したままです。

マンションでは停電により、

  • エレベーター停止
  • 給水ポンプ停止
  • オートロック停止
  • 機械式駐車場停止
  • インターホン停止

が重なります。

水道

水道は道路下の管路が破損するため、電気より復旧が遅れやすいインフラです。

断層横断部や液状化地域では管が切れ、給水車も道路渋滞で十分に回れない可能性があります。

下水道

上水道が一部復旧しても、下水道が壊れていればトイレを流せません。

特に集合住宅では、住民が知らずに上階から排水を続け、低層階や地下で汚水が逆流するおそれがあります。

ガス

地震後は安全確認のため、広い範囲で供給が停止します。

都市ガスの復旧には、地区ごとの漏えい確認と開栓作業が必要で、電気より長期化しやすい傾向があります。

通信

基地局が無事でも、

  • 停電
  • 回線混雑
  • 中継網の損傷
  • 非常用電源の枯渇

によって通信が不安定になります。

発災直後は電話よりも、災害用伝言サービス、SMS、インターネット系連絡手段の方が通じる場合がありますが、スマートフォンの電池切れが深刻になります

 

6.交通への影響

県の最新想定では、警固断層帯地震により、

  • 道路被害:約1,100か所
  • 鉄道被害:約350か所
  • 港湾被害:約50か所
  • 漁港被害:約60か所

が想定されています。

道路

福岡都市圏では、道路の完全な崩壊よりも、

  • 倒壊建物
  • 電柱
  • ガラスや看板
  • 液状化
  • 道路の段差
  • 信号停止
  • 火災による通行止め
  • 放置車両

によって道路が実質的に使えなくなる可能性があります。

特に断層を横断する道路では、舗装だけでなく、橋、上下水道管、ガス管、通信管路が同時にずれるおそれがあります。

鉄道・地下鉄

JR、地下鉄、西鉄は、安全確認が終わるまで原則停止します。

被害が小さくても、

  • 高架橋点検
  • トンネル点検
  • 軌道変位の確認
  • 駅舎天井やホームの確認
  • 電力・信号設備確認

が必要なため、長時間運休する可能性があります。

地下鉄は「地下だから安全」とは限りません。構造物は比較的強くても、駅への出入口、停電、浸水、信号、換気、周辺建物の被害により運転できなくなります。

博多駅・天神

交通停止により、福岡市内だけで最大約19万人の帰宅困難者が想定された過去の計画があります。

そのうち、職場や学校などに滞在できない人は、

  • 天神地区:約2万500人
  • 博多駅地区:約1万7,500人

とされていました。

一斉に徒歩帰宅すると、緊急車両の妨げになり、沿道火災や落下物に巻き込まれるため、基本は「むやみに移動せず、安全な施設に留まる」です。

福岡空港

滑走路が直接壊れなくても、

  • ターミナル設備
  • 管制・通信
  • 燃料供給
  • アクセス道路
  • 地下鉄
  • 職員の参集

に問題があれば、機能は大幅に低下します。

福岡空港は市街地に近い利点がありますが、同時に断層地震による都市全体の混乱に巻き込まれやすい空港です。

博多港

埋立地や岸壁では液状化、岸壁のずれ、荷役設備の停止が起きる可能性があります。

港は救援物資の受入れ拠点になりますが、自らも被災するため、発災直後から十分に使えるとは限りません。福岡市の博多港BCPも、警固断層帯南東部M7.2を港に最も被害を与える想定地震の一つとしています。

 

7.熊本地震より福岡で深刻になりやすい点

人口密度

福岡市は断層の周辺に住宅、オフィス、商業施設、学校、病院が密集しています。

同じ震度7でも、揺れる範囲にいる人数と建物数が多いため、被害が同時多発します。

都市機能の集中

福岡県の行政・医療・金融・通信・交通の中枢が福岡市に集中しています。

被災地を支援する側の本部機能そのものが被災する可能性があります。

高層建築物

高層ビルは直ちに倒壊する可能性は低くても、長周期的な揺れ、エレベーター閉じ込め、天井落下、家具転倒、給排水設備損傷が問題になります。

地下空間

天神・博多駅周辺には地下街、地下鉄、地下店舗、地下駐車場があります。

火災、停電、煙、浸水、出口付近の建物被害が重なると、避難誘導が難しくなります。

帰宅困難者

昼間や夕方に発生すれば、通勤者、買物客、観光客が中心部に取り残されます。

熊本地震より「帰れない人」「土地勘のない人」の問題が大きくなる可能性があります。

 

8.現実的な評価

警固断層帯南東部について、近いうちに必ず起きると断定することはできません

一方で、

  • 2005年に北西部だけが動いた
  • 南東部は長期間動いていない
  • 南東部は福岡市街地を通る
  • 30年確率は主要活断層の中で高いグループ
  • 発生すれば震度7と大規模な都市被害が想定される

ことから、福岡において最優先で備えるべき地震の一つです。

最も危険なのは、地震発生そのものより、「福岡は大地震が少ない」「2005年に一度来たから当分来ない」という思い込みです。北西部と南東部は別区間として評価されており、2005年に動かなかった市街地側が残っています。

 

警固断層帯と2005年福岡県西方沖地震震源域 

 

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