ピッ‥ピッ‥ピッ‥


規則正しく流れてくるモニターの電子音





その張り詰めた空気の中で、ただ無心に黙々と手先を動かす


目の前こと、少し先のことだけ頭の中にある


薄い皮膚に、髪の毛よりも細い糸をかけ

適度なテンションを保ち縫い合わせていく



クーパーください。



声を掛けるとすぐに右手に当てられる
金属の感触。


そろそろ仕上がりチェック‥


すぐ向かいには既に自分の範囲を終えて
ガウンを脱ぐ
彼の姿




最後の縫合を終えると、マスクの中で深呼吸して
おつかれさまでした、と呟く



わたしもガウンを脱ぐと
少し離れたところで椅子に腰掛け
麻酔が覚めるのを待つ
彼の隣へ



真剣にカルテを繰る横顔

その眼差しに
不意に過ぎる昨夜の表情



チクリと針が胸に刺さるのを覚える




ああ‥
いけない‥





目線を外し、すぐ側の冷たい壁に
背中を預ける
ヒンヤリとした感覚が心地良い
火照り出しそうな心を冷ましていくかのように







今日もひとつ、無事に終わりました

これがわたしのひとつの日常。
これも本当の、わたし。