新月を待って・・・恋愛小説紛い -17ページ目

新月を待って・・・恋愛小説紛い

小説紛いの恋愛ものを綴ってみましょう♪
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「胃の具合どうですか?」


「随分良くはなったが、本調子ではないんだ」


「お肉は大丈夫なの?」


「いやっ、今日は少な目にしておくよ。ゆきは、沢山食べなさい」


「あなたが戴けるもので良かったのに‥」


「いいんだよ!ゆきに、此処のお肉を食べさせたかったんだよ」


一口食べて、彼がそう言ったのも解るような気がした。

一口食べると口の中で溶けていく上質のお肉に感激した。

しかし、彼は私の半分も食べなかった。

三鷹に営業所をオープンするために忙殺の日が続いているそうだ。


そんな大事な時期に、我が儘で彼を振り回してしまっていることに猛省した。


「ゆき、何かデザート食べようよ」


彼は、全く お酒を頂けない代わりにスイーツが大好きだ。


私たちは、丸太の橋を戻りホールに入った。


ラタンのテーブルがバランスよく配置され、椰子の木で仕切られた店内は、まるで南国ムードだった。


しかし、聴こえてきた生演奏は、確かロシア民謡だった。


マラカスとコンガの軽快な音楽が店内を和ませた。


「ゆき、素敵だろ~この音楽」


「ロシア民謡ね」



「よく知ってるね。ロシアでは軍歌とか労働者の歌だと聞いたよ」


「そうなんだぁ~こんなに軽快なメロディーなのにね」


そのとき、聞き慣れたメロディーが流れてきた。


「カチューシャですよね」


「そうだね。そのうち、トロイカや、ともしびも聞けるよ」


「私、大好きなんです」




そんな哀愁帯びたロシア民謡が、今の心境に心地好かった。


すると、彼が

「ゆき、この前 こちらへ来た帰りに隆正君と相沢さんに手紙を渡したんだって!?」

突然、聞かれたので、


「すみません、余計なことを‥」


「いやぁ~嬉しかったよ。ありがとう。相沢さんが大変喜んでいたよ」


「そうでしたか、お世話になっていながら何のお礼も出来なくて!」



「それにしても、ゆきは達筆だね。隆正君も感心してたよ。なんだか俺は、気分が良かったさ!!」



「私が達筆?孜さんほどではありませんよ」



いつも、メールのやり取りでは気がつかないことですが、


彼の字体は、女性らしく優しい美しい文字を書かれます。
その反面、芯が通っている感がします。
それに繊細さが漂ってくるのです。


私の文字は?と言うと、流れるような崩し文字で荒々しく強さを感じるのだと思います。
よく、存在感がある字体だと言われます。




文字とは人の性格を表すのかもしれません。



「ねぇ、孜さん、その手紙を読まれました?」