「ねぇ、孜さん、その手紙を読まれました?」
「ごめんよ。相沢さんに頼んで見せてもらったんだ」
「いえっ、でも‥気を悪くなさらないでくださいね」
「いいんだよ。俺を心配してるのが分かったよ。ありがとう」
その手紙には、お礼を述べた後に、彼に何かあったら連絡して欲しいと、私の住所と携帯番号を添えていたのだ。
彼が元気なら、いつまでも繋がっていられるが、彼に何か異変があると、音信不通になってしまうのが怖かったのだ。
「もし、僕に何かあれば相沢さんか専務が連絡してくれるようだ。安心するといいよ」
「はい!!」
「子どもたちは元気かい?」
「えぇ、今日は海遊館に行っている筈です。大阪駅で別れた時なんて‥バイパイって振り向きもせずに行っちゃったのよ!」
「そっかぁ~英君には、何か御礼しなきゃね」
「多分、彼も寂しいんだと思うの」
「そう、英君は、ずっと一人暮らしなの?」
「近所に母親がいるよ。時々、会っているようだけど‥昔から仲が良くないんだ。弟だけを可愛がっていたから」
「親は、出来が悪いほど可愛いと言うよ。親の愛は親バカって言うほど深いもんなんだけどね」
「親になれない40男には解らないのかもしれないよ」
英のことに関心を寄せている彼に、英は、男じゃなく女だなんて言えなかった。
従兄の中で、小さい頃から一緒に育ったとだけ伝えていた。