彼との想い出の場所となった河口湖畔は、すっかり闇に包まれていた。
「ゆき、さっきの話だけど‥僕も同じなんだよ。あの日以来、ゆきに逢いたくて、ゆきを抱きたくて‥
でもね、人間は、本能のままで生きてるとダメになるだけさ。人間は我慢とか忍耐とか乗り越えなくてはならないようになってるのさ!
不条理なことを言っているかもしれないけど‥
出来る限り、ゆきを護りたいと思っているよ!
今は、これしか言えないんだ」
「うん、分かってる」
「この年になって、恋をするなんて思ってもみなかったよ!勝手な言い分だけど、ゆきとは遠距離だから救われているよ。
もし、ゆきが手の届く所に居たら~
俺、自分を無くしていたような気がするよ」
「私も、母が居る限りは親不孝は出来ないって思っているの!母が居なければ、あなたの傍で暮らしたい」
「ゆき‥」
彼は、私の目を凝視してた。
そして、トーンが変わり明るい声で、
「これからは、ゆきが言っていた満月の日は、なるべく二人で観よう」