私は、最上階にあるレストランへと向かい朝食を摂ることにした。
年若いウェイトレスさんが案内してくれた席は、オーシャンビューになっている窓際だった。
オーシャンビューと言っても 県内には海の無い。
そう!!
窓際から見える景色はパノラマ写真~いやっ、
窓枠という額縁で縁取られた富士山が見えたのだ。
まるで絵を見ているように。
私は席に着き 朝食にした。
壮大な富士は全容を惜しみなく披露してくれた。
私は その艶やかな富士に圧巻され、急に涙が溢れ出た。
彼がこよなく愛した富士
彼を護り続けた富士
彼が命を懸けた富士
まるで私の再来を歓迎してくれているようであった。
朝食も、ほどほどに珈琲を流し込み 部屋に戻り身支度をしていると、
ドアをノックする音がした。
招き入れた彼に 私は飛び込んだ。
「寂しかったろう、ゆき」
私たちは口づけを交わした。
そして、
「ゆき、ゆっくりも出来ないんだ。下で隆正君が待ってるんだ」
この日、彼は会社に出社せずに、私を迎えに来てくれたのだと思った。
専務とは、ホテルのロビーで仕事のあれこれを段取り打ち合わせをされたのでしょう。
そして、彼と私が二人きりになることを裂け、わざわざロビーに専務を寄越したのだと思った。
エレベーターが開くと、彼は会計を済ますために受付に、その様子を見ていた専務が近づいて来られた。