新月を待って・・・恋愛小説紛い -10ページ目

新月を待って・・・恋愛小説紛い

小説紛いの恋愛ものを綴ってみましょう♪
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「雪乃さん、いらっしゃってたんですね」


「はい」


「社長、何も仰らなかったので‥」



「そうでしたか、昨日の夕刻に。すみません、お忙しいのに」



「いえ、今朝は社長は出勤なさらなく、こちらで打ち合わせを済ませたところです」



「そうでしたか。私が来てるからですね。ごめんなさい」



「いえ、私は仕事ですから。このバッグは‥えっと、横浜の~」


「はい、キタムラのバッグです。よくご存じですね」


「以前、家内にねだられたものでしたから。それにしても綺麗な色合いですね」



「母の見立てです。私も気に入っていつも同じ物ばかりを持っているんですよ」



「良い物は長く持てますもんね。このボストンバックもですねぇ」



「はい、あまりブランドものが好きではないので‥家業の関係で上質の革製品が好きなんです」



「そうですか。革製品を扱っていらっしゃるんですか」



「はい、父は早くに亡くなりましたが、今は母と弟が営んでおります」



「ほほぅ。バックとか靴とか?」



「はい、中には、自動車のシートとかバレーボールなども作っております」



「それは素晴らしい~」



詳しい話までには至らぬまま、彼が戻ってきた。



私たち三人は駐車場へと向かった。



専務さんは、鞄をお持ちしますと仰って下さったのですが、そのようなことまではと遠慮した。



私は、彼の車の助手席に乗り込んだ。



彼は、専務さんと何やら真剣な顔で話込んでいた。


きっと、あの鋭い洞察した目付きが、普段の社長としての顔なんだと思った。



暫くして、彼は運転席に腰掛け、



「ゆき、お待たせ」


と言った顔は、私に向けた少年の顔だった