何故か軍の消防士に、

「保護されたくないなら、もう勝手にしろ。」と叱られていたら、ふと話しかけてきた人がいました。



我が家のお隣さんの奥様マリンダさん。


そう、7月の拘置所騒動で、お隣さんのマリンダさんの次女(中学生)が警察に電話をかけました。



我が家とはずっと仲が良かったのですが、その騒動で、私が勝手に気まずくなり、お隣同士ですが、鉢合わないように私がお隣さんを避けていました。




マリンダさんのご家族にも子供が3人おり、


高校生の長女、

中学生の次女、

第3子は、私の第3子より数ヶ月上で、まだ2歳。


マリンダさんの第3子は2歳でもまあまあ体が大きく、以前は、私の第3子に入れなくなったお洋服をくれたりしました。




マリンダさんは私に、

「凜、大丈夫?」



私は気まずく恥ずかしかったのですが、

笑顔で

「大丈夫。お騒がせしてごめんなさい。

ありがとうございます。」



すると消防士さんが

「あなたお隣さん?

この方は今夜は色々と大変だから、念のため、今夜はなるべく一緒にいてあげてくれる?」




マリンダさんは優しく、

「もちろん。凜、私の家に来て。

何か温かいものを一緒に飲みましょう。」



ああ…消防士さんが余計なことを…。


…私はひとりでいたいのに。


…恥ずかしいし、気まずいから、マリンダさんと過ごしたくないのに。


…何事もなかったかのように、誰かと取り繕うのがひたすら苦痛なのに。



マリンダさんは優しく私に、「私の家においで」と言いましたが、

私は何とか行かなくてすむように、


「でも家を片付けなきゃ…」

など、取ってつけたような言い訳をしましたが、


気づいたらマリンダさんの中学生の次女ちゃんが、

私の子供に優しく

「ねえ、ウチで遊ぼ!」と声をかけて、


喜んで私の子供たちは、マリンダさんの次女ちゃんについてお家へ行ってしまいました。


あんな騒動があったのに、マリンダさんの次女ちゃんは、

私に優しい笑顔で、何事もなかったかのように接してくれました。


ありがとう


本当に良い人たちなのに、


我が家がおかしいと、

恥ずかしくて、気まずくて、


素敵な家族とお付き合いができなくなってしまう…。



マリンダさんのお家は、同じ米軍基地内の米軍住宅なので、


ほぼ全く同じ間取りでしたが、私の家よりも部屋がひとつ多い4LDK。



かつて私は、同じ米軍住宅のよそのお家にお邪魔するのが好きでした。


ほぼ同じ間取りですが、

インテリアやお家の使い方は人それぞれ。


それを見せてもらうのが好きでした。




マリンダさんのお家のリビングに入ると…


11月中旬なのに、

すでにクリスマス・ツリーが飾られていました。


アメリカ特有の大きな大きな、

天井まで届きそうな、クリスマス・ツリー。




「素敵なクリスマス・ツリーだね。もう飾ったの?」




「そう、夫が特殊任務で1ヶ月ちょっと、出張中なの。

夫はクリスマスの直前まで戻ってこれないから、

『母子だけでクリスマス・ツリーを出すのは大変だから』と、少し早いけど、クリスマス・ツリーを出して行ってくれたのよ。」




立派なご主人だな。


奥さんと子供たちを案じて、クリスマス・ツリーを飾って出張へ…。



そういえば…

私の夫も、薬物依存性でボロボロになっても、こういう気遣いは忘れませんでした。


優しい人でした。



マリンダさんのご主人と、私の夫、

同じ優しい人だったのに、


マリンダさんのご主人と、私の夫、

何が違ってしまったんだろう。




ご主人がいないマリンダさんの家と、

夫がいない私の家。


同じ内装の米軍住宅なのに、

やっぱり全然違います。


マリンダさんの家は暖かく、

ホリデー・シーズンの楽しい冬の雰囲気がありました。


私の家は、同じ間取りなのに、

寒々しかったです。



マリンダさんは私と子供たちにホット・チョコレートを出してくれました。

アメリカのホット・チョコレートならでは、

マシュマロとマーブルチョコも入れてくれました。



マリンダさんも私に聞きたいことが沢山あっただろうと思います。


7月、10月、11月に、

私の家に警察が来ました。



辺りはちょっとした騒動になりました。


7月、10月にパトカーに乗せられたのは私。

11月は夫。


明らかに異変が起きている

不穏な我が家。



しかしマリンダさんは何も聞かないでくれました。



そして大きなクリスマス・ツリーの前で、

はしゃいで遊ぶ自身の子供たちを、


熱いホット・チョコレートを飲みながら、


2人で言葉少なく、のんびり眺めて過ごしました。