『鈴木泰助歌集おと』(みちのく豆本1979年)8㎝×12㎝
51頁 アンカット版(ペーパーナイフ添え)
作者は1911年山形県に生まれ、1937年、句集発表。1938年、結婚。1939年、目を患い新潟病院に入院、治療するも翌年失明、『詩のデッサン』を上板する。1941年逝去、35歳。
馬車馬の地響きたててながながと尿するきけばこころなごみぬ
樋の水柄杓にくめば音しばし弱くなりつつ朝日もれきぬ
外に出でて顔にかかりし蜘蛛の巣に昨日の雨を知りにけるかも
あわわして蛍を呼べと幼きがわが口のへにやはき掌を寄す
かたはらに吾子が持ちたる杏の実食らふによろし熟れし匂ひす

