「絆」・・・それは間違い、それとも間違いじゃない | ふくしま IN MY LIFE

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ふくしまでの暮らしを綴ります

この国に負けるわけにはいかない・・・

震災から9か月が過ぎ、まだ冬の名残りのあったあの寒さから、また新たな冬の入口へと季節は流れました

寒さがいろんなことを思わせます





この震災で、津波で、たくさんの人が亡くなって悲しい別れがたくさんありました

でもその辛さから何とか頑張って生きていこうとしてる人たちがたくさんいます



今年を表す漢字は「絆」

「絆」をいろんなところで感じて感謝した一年です

でも、その「絆」を汚した原発事故は本当に憎い出来事です

このことで、絆を深めた家族もいて、絆が切れてしまった家族もいます

別れてしまった夫婦がいると聞きます

親戚との行き来が途絶えたということも事実

福島にるおじいちゃんおばあちゃんい会いたくても来れない孫たち

なんでこうなったのかな~と途方にくれます






逃げる、逃げない

食べる、食べない

何度この言葉を目にし、口にし、考えてきたことか

避難区域の人たちは、選択の余地もなくみんながあの寒い3月に自分たちの地域を後にし、今も期限のわからない避難生活をしています

将来の心配な子供のいる家族はみんなが同じく悩んでいます

仕事を辞めて県外へ家族ごと引っ越した人、奥さんと子供だけ避難してる人、

避難したくても仕事を辞めるわけにはいかない人、避難したいことを家族にわかってもらえない人、避難したいと家族に言えない人

事実わたしの身近な例えでは

① 近所の4世代の家族。若じいちゃんと若ばあちゃんは今年孫のために春に植えたジャガイモを途中で全部抜いてしまいました。そして今年の野菜を一切作りませんでした。年寄りだけ食べるといっても、自分のうちの野菜がおいしいことを知ってる子供たちはきっと食べたくなってしまうから。
お嫁さんの実家は関東。週末度に孫とお嫁さんを実家に行かせ、夏休みの間中も実家に帰しました。普段は地元の学校に通っています。・・・親が理解を示し、いろんなことを気を付けながらここに住んでいる家族です。


②若い娘さんが幼稚園の先生をしています。嫁入り前だからと親が心配しています。遠くにいる親戚が心配し、勤め先も世話するから娘だけでも福島から出したほうが・・・と言ってくれたようですが、幼稚園にいる子供を差し置いて避難するわけにいきません。自分の仕事をこの土地福島で頑張っています。


③数年前にある夫婦が離婚し、奥さんは自分の生まれた都会へ。子供は旦那さんが引き取りました。このたびこのことで夏休みに少しだけ子供を奥さんに預けました。でも、子供は帰ることなく奥さんが都会で育てることになりました。淋しくなってしまったとおばあちゃんがつぶやいていました。


④3歳と1歳のお母さん。避難したくて旦那さんに相談しました。仕事も辞められないし、この土地を離れるわけにはいかないと、避難することを反対されました。子供のためにずっと願い続けて、やっとお母さんと子供だけ避難することになりました。


⑤6歳を筆頭に今年3月に生まれた赤ちゃんまで4人を育てるお母さん。両親の介護でここ福島を出るわけにはいきません。
さらに子育てを手伝ってくれている旦那さんのご両親に子供を預けることもしばしばですが、自家製野菜を子供たちに食べさせることへの不安をお義父さんとお義母さんに言えずにいます。




もっともっとたくさんなことが身近にあります



人と人とのつながり、思いやりからの行動、それがいい方向だったり、悲しむことになったり、思い切って思いを伝えたことでわだかまりが出来てしまったり、家族のあたたかな雰囲気を壊したくなくて言えなかったり・・・


家族それぞれ、人それぞれに悩み方が違います

でも、福島の人がこの一つのことで悩みを抱えてる

それは共通しています

悩まない人なんて県民の誰一人いません

今も、この先も・・・

(今日は「絆」のことで書いていますが、「食」については今度書きたいと思っています)





「それは間違い、それとも間違いじゃない・・・」

この歌は、そんな言葉で始まります

今のわたしの気持ち

いろんな言葉が飛び交う中、どれも間違いじゃない

「それは正しい、それとも正しくはない・・・」

正しいことは何なのでしょう?





住む家があり、子供のいないわたしたちの家族はこの土地にとどまっています

いろんな悩みはあるけれど、いろんな立場の人と比べれば、わたしたちはまだいいほうです

子供がいたら避難に悩むでしょう

子供がいなくても避難したらいいだろう?

いえいえ、子供がいる家が優先のこと

わたしたちのような大人だけの家族が、さっさと逃げることなんて考えられません

「年寄りだからいいって、あきらめたくないよ!」っていうお年寄りだっています

それは原発事故への怒り

その気持ちはみんながいろんな形で心に抱えています

ネットの陰ではいろんな言葉が見え隠れ

逃げないわたしたちを笑ってる人、批判する人

米のことだって、かなりの言われよう

批判するのは自由ですが、陰で見るその言葉の汚さはひどいもの




逃げた、逃げない、逃げたい、逃げたくない、逃げられない

野菜や米を作った人、作らなかった人、食べる人、食べない人


どれが間違いで、どれが正しいとは言えないのです

どれも間違いではなく、どれも正しいのです






国や東電は間違ったことをしてきたんだけど

それに気づいてこなかったわたしたちも間違いだけど




いろんな絆までを汚して

ほんと、どうにかしてほしいです




これは、福島だけの問題じゃないと思います

みんなが真剣に考えることだと思います

自分のところは関係ない話ではないと思います