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リーマルのブログ

誰でもいい訳じゃない

およそ三年ぶりに無二の友に会うため、出掛けた私。


待ち合わせたいつもの喫茶店に着くと、窓辺の席から手を振るエマちゃんを発見しました。


手を振り返しつつ時間を確認しますと、まだ約束の時間まで15分もあり


ホッとするやら、一体いつから待ってたんだろう…と心配するやらでしたが


ドアを開け店内に入りました。




顔馴染みのお店ですので、マスターに挨拶がてら確認しますと


エマちゃんは一時間前にはすでに待っていたそうで


電話で話してた時、エマちゃんはもうここにいた計算になり


私を急がせないようにあえて言わないところが、エマちゃんらしいというか


本当に優しい人なのです。




私は小走りでそのテーブルに近づくと


エマちゃんも立ち上がり、満面の笑みで迎えてくれました。


お互いワーワー言いながら抱き合って、再会を喜びたかったのですが


他にお客さんもいましたので、小声で挨拶を交わし、握手で我慢しました。


「髪切ったんだねー、短い方がやっぱり似合うよ」


エマちゃんと出会った時は完全にショートヘアでした。


「そう?」


私がニヤニヤしていると、エマちゃんはニッコリして訊いてきました。


「テーマは?誰?」


エマちゃんもその件を知っていて、面白がってくれる人です。


「今すぐ答えたいんだけど、平常心を保つ自信がないんだよねぇ」


本当に自信がありません。キャーキャーしちゃうに決まってます。


「じゃあ、あっちに行ったら教えてねっ」


あっちとは騒いでも怒られない場所、カラオケボックスです。


ここでは昼食をとってお店を出ました。早く大きな声で喋りたい一心です。




カラオケへ向かう道すがらも、お互いの近況を報告しあったり、笑いあったり。


昨日も一昨日も一緒に過ごしたようなしっくり感。


並んで歩くエマちゃんを見ると、とても素敵なピアスを付けていました。


グリーンのグラデーションのさざれ石を繋げて、金と銀のフリンジがキラキラ揺れる


涼しげなデザインです。


「そのピアス、凄くイイね」


私がそう言うとエマちゃんは耳たぶからピアスへと触ってニコニコしています。


「これね、作ったんだよぉ」


「自分で?エマちゃんが?」


エマちゃんは「うん」とうなづいてウフフと笑いました。


「スゴイ上手!器用だよね、エマちゃんに似合ってるしねぇ」


「リーマルさん、これ気に入った?」


「うん、素敵だよ」


私がそう答えるとエマちゃんはご満悦の表情でいいました。


「良かったぁー、リーマルさんにも似合うよこれ」


私は???でしたが、エマちゃんはまたアハハハと楽しそうに笑いました。


「ん?どういうこと?」


「まだ内緒だよー」


「???」





疑問を残したままカラオケ屋さんに。


エマちゃんは必ずパーティールームを希望します。


平日昼間にパーティーを開く人はなかなかいませんので、断られたことはありません。


部屋に通されると頼む物も頼まず、アバのダンシングクイーンを歌うのが二人のルールです。


歌い終わってやっと席に座ります。


「今日も上手く歌えたねー」とエマちゃんはニコニコしていました。


「リーマルさん、何飲む?」といつもインターホンの近くに座るエマちゃん。


私はアイスコーヒー、エマちゃんは発泡性の日本酒を注文。


ちなみに、エマちゃんはお酒に強いタイプです。




飲み物が届くと乾杯をし、エマちゃんは一杯目を美味しそうに飲み干し


私はお酒のボトルを傾け、そのグラスに注ぎました。


「美味しそうだね」


「おいしいよー飲んでみる?」


私は普段、アルコールは飲みませんが、エマちゃんに勧められると飲んでみたくなり


ひとくち貰いました。口に含むとフルーティで発泡なところがまた爽やかで。


「スゴイおいしいじゃん」と言いつつ、飲み干す始末。


エマちゃんは嬉しそうに「ほんとはイケるクチなんじゃない?」と笑い


「じゃんじゃん飲もーよ」と追加注文。




酔っぱらうと面白いもので、何回も乾杯したくなるんですね。


再びカチンとグラスを合わせると、エマちゃんは「ハッピーバースデー!!」と言って


ワーーイ!と拍手されました。


「ちょっと遅れちゃったけど、ごめんね」とプレゼントもいただきました。


「覚えててくれたんだね」と私がしみじみ言うと


「リーマルさんのお祝いのために来たんだもん」とニッコリ。


私のためにわざわざやって来てくれたなんて。。。


「開けて、開けて」と促されプレゼントの小箱を開くと


エマちゃんと色違いのピアスが入っていました。私のはブルーのグラデーションです。


「私の分も作ってくれたんだね」と言うと


「私のは試作。リーマルさんへのプレゼントだよ、最高の出来じゃなくちゃ渡せないもん」と


かなり胸が熱くなることを言うエマちゃん。


「ありがと、エマちゃん」と半泣きでお礼を言うのがやっとでした。


私は早速そのピアスを付けてみました。


「やっぱり似合う!イメージ通り」とエマちゃんは鏡とハンカチを差し出しました。


鏡で確認すると、手間暇かけたそのピアスの美しさに、また感情を抑えきれなくなりました。


「…さすがだね」と思いやりのハンカチで涙を押さえました。



そして、エマちゃんは私の気を涙からそらせるように、尋ねてきました。


「そういえば、髪のテーマの人って?」


「のおちん」と答えましたが、エマちゃんは分からず、鞄からタブレットを取り出し


調べようとしていたので、「動画があるよ」と細かく教えてあげました。


髪型はこの頃のもので、今練習してるのはこの曲で、いずれ踊ってみたいのはこの曲で…と。


のおちんはこの人だよ、と映像が変わるたびに指しました。


エマちゃんは真剣な眼差しで映像を観ていました。


エマちゃんにとって、ダンスの話は仕事の話になってしまうので、避けてきたのですが


のおちんを語る上では、外すことのできないポイント。


エマちゃんの横顔は、明らかに遊んでいる時の表情とは違います。


悪い事しちゃったかな。。。


私は酔い覚ましに、氷が融けて薄まったアイスコーヒーを飲み、様子をみました。


一通り観終わって「…のおちんのダンスって、色気のあるダンスだね」と


エマちゃんは何故か寂しい表情を見せました。


それなのに「もう一回、観てもいい?」とニッコリしたり。


「もちろん、何度でも。私、トイレ行ってくるね」と言うとエマちゃんは


「いっといれー」と言ってアハハハと明るく笑うのでした。




しばらくして私が戻ると、エマちゃんはテーブルを壁に押しやっていました。


「なに?なに?どしたの?」と私。「ちょっとやってみるよ」とエマちゃん。


「リーマルさん、かっこつかないね、歌える?」


私がうなづくと立ち位置も指定され「私を見ながら歌ってね」と曲を入れ


マイクを渡され、ニコニコしていたエマちゃんが、キメ顔でサッと胸の前で腕組みしました。


私は日ごろから研究していますので、その構えがのおちんであることに気付きました。


曲が始まり、エマちゃんは流れるような動きで踊り始めました。


これは私もちゃんと歌わねばと集中しました。でもできませんでした。


エマちゃんの踊りに魅了されている状態ですので


トシちゃんの歌なのに棒立ちでぼんやりとしか歌えません。




大好きなのおちんのダンスを、大好きなエマちゃんが踊るなんて


私の中では、感動し過ぎて膝から崩れ落ち、天を仰いでガッツポーズするレベル。


細かいステップにも気を抜かず、大技もキッチリやってくれました。


私はその振付を100%覚えてはいませんが、間違いなくエマちゃんは習得しています。


ほんの2、30分で。これがプロってことなのか、と衝撃を受けました。





曲も終わり、エマちゃんは決めポーズで踊り終わると、床に座り込みました。


そしてなぜか泣いています。私はエマちゃんの隣に座って、背中をさすってあげました。


気持ちが落ち着いた頃合いをみて、「大丈夫?カッコ良かったよ」と話しかけると


「うん、ありがと」と微笑んで話し始めました。


「なんかね、久しぶりに踊りたいと思って踊ったよ…」


その言葉を聞いて、初心に返ったんだとピンときました。


私も少し前にそんな経験をしたばかりなので、涙の訳を理解しました。


「リーマルさんの目標としてる人が、踊る人だって聞いて正直、嫉妬した」


嫉妬!どの辺の意味で?ダンサーとしての意地からだよね?


「だけどね、のおちんの踊るとこ観てたら、凄く心を感じたんだよね、心のあるダンス」


勘が鋭いエマちゃんは説明しなくても分かってしまうんだよね。


「リーマルさんが好きなのもわかるし、完全に私の負けだって思ったの…」


だからあの時、寂しい顔したんだね。


「けどね、何回も観てるうちに、のおちんみたいに心を込めて踊りたくなったの」


そうだよね、そこだよね。


「心を込めて踊れたし、見届けてくれたのがリーマルさんでほんとに嬉しくって…」


とまた泣き出しそうになったので、エマちゃんを抱きしめて「うん、わかったよ」と。


なぜなら私も、胸が一杯で耐えられなかったのです。




その後、テーブルを元のように整えて、再び乾杯しました。


「…でも、やっぱり妬ける」


エマちゃんの言葉に私はお酒を吹き出し、それを見たエマちゃんは爆笑していました。





「またしばらく会えないんだね」と嘆くエマちゃんにブログをやっていることを教えました。


私は前にもお話ししたかもですが、良い意味での匿名性を大切にしていますので


私がどこの誰だか知っている人には、誰にも教えていません。


例外はエマちゃんだけです。


会えない間でもこれさえ読めば、馬鹿馬鹿しくて、寂しくならないはずです。


「この一日のことも書くよ」と言ったら、「私もリーマルさんの1ページになるんだね」と


はしゃいでいましたね。


その姿を見て、エマちゃんと親友で本当に良かったと思ったよ。


あと、のおちんに嫉妬なんてしないでね。


エマちゃんは唯一の存在なんだから。


素敵なピアス、素敵なダンス、なにより会いに来てくれてありがとう。


こんなに心のこもった誕生日プレゼント、今までもらった事ないよ。


楽しい一日をありがとう。


また、遊ぼうね。





つづく。。。






曲は1:00から始まります。右側がのおちん。

エマちゃんはこの映像を観察して、素晴らしい踊りを披露してくれました。


今回の副題はエマちゃんたっての希望でそう付けました。なぜ闘うの。。。

それと『エマ』という名前もエマちゃん本人が付けました。

本名と同じくらい似合っている名前です。


エマちゃんに読まれると思ったら、気合を入れ過ぎて巻物なみの長さになってしまいました。

ここまで読んでいただいた心の優しい方、ありがとうございます。お疲れ様でした。