同種の生きものたちは互いにコミュニケーションしている。
例えば、カラスたちは数百以上のアイテムを情報交換している。
数百という数字は、カラスではなく人が観察した結果であり、
カラスの立場に立てば、もっと大量の情報交換していると、推測される。
カラスは人が思う以上に賢い。
「ハチは心をもっている」ラース・チカット著の本によれば、
ハチの研究者がハチの脳内の神経細胞を調べた結果では、
ハチの脳には85万個の神経細胞があり、学習と記憶をつかさどっている。
各神経細胞は細かな分枝によって1万個の接合部(シナプス)を形成ししている。
(これは人の脳の神経細胞とだいたい同じ)
従ってハチの脳には10億個のシナプスが存在するだろう。
脳の情報伝達効率は学習や記憶によって向上するので、ハチの脳は
生きている間に目覚ましい成長を遂げる。
ハチにも情動があるという研究結果もある。
人の赤ちゃんと比べれば、ハチの方が賢いかもしれない。
ハチも心に近いものをもっているようだ。
ただし、自他の識別はできても、
自分についての認識はないと言える。
なぜなら、自分が何をするか、という自己認識はハチに不必要だから。
各ハチは生存のために今、必要で適切なことを行えば、それで充分。
自分が他とどう違うか、などの、行動と無関係な考えは不要だから。
人の場合、自分が他とどう違うか、あるいは、何が得意か、
自分はどう見られているか、本当は何をしたいのか、
そういう無駄な考察をするのが、好きな生きものだ。
生存の役に立つこともあるのだろう。
例えば、人は体内の感覚器官が未発達。
人の生存には、外敵や怪我や食事などの外界と関係ある情報が
最重要であり、体内感覚が未発達でも困らなかったからだ。
体内に生存を脅かすような巨大なガンが生まれても、
通常、人は気付かない。
なぜなら、それらは生存にとって、無視できる事柄だから。
人の寿命は短く、ガンになる前に死ぬのが普通だった。
ハチには自己認識はない。
生存に不要だから。
集団で生きる生きものは、一般的に、集団内での役割分担や
仲間との情報交換が最重要。
自分がどう見られているか、などの自己認識は行動の妨げになり不要。
さて、私は、人に心はない、と思っている。
しかし、自己認識はある。
他人が困っていても、自分の利得を優先する自我という働き、
これは人に特有のもの。
これが心を生み出すものなのだが、
私は、人に自我はあるが、こころなる立派なものはないと思う。
人にあるのは、自己中心の自我だけ。
釈迦によれば、この自我なるものもない、という(無我)。
通常、普通の人があって欲しいと思うだけで、
ただの自己中心の考えや思いに過ぎないかもしれない。
さて、今回の話題は、言葉の働きについて、
脱線したので、次回で書くことにする