老化はすべての生きものに共通。
生きものの法則でもある。
最初は若く元気で、
年齢が経つと、老いて死んでいく。
すべての生きものは、この運命を知っている。
だからこそ、若いいのちを謳歌する。
老いて倒れる前になると、静かに死を迎える。
例えば、ゾウは寿命を自覚すると、群れから離れるらしい。
たぶん、群れの仲間の負担になるのを嫌うためだろう。
ゾウは優しいので、弱った仲間を助けるという。
母親が死ぬと、母親代わりに小象を育てるという。
人も同じだ。
近親の負担を考え、
負担にならない終わり方を目指す。
私は人なら死期が分かると思う。
ゾウと同程度には分かる。
そうなると、
もっとも楽な死に方を考える。
もし、がんの末期で食べられなくなると、
この選択はとても簡単。
末期が体が弱っていれば、
1週間食べないと、死が間近になる。
たぶん、水分も摂れなくなっている。
最期の日は、脳への血流が減少し、
正常な思考はできなくなっている。
せん妄状態が続くが、時々、ふっと意識が戻ることがある。
短い間であるが、このとき、最後の別れができる。
最後の日の苦しみは、軽いのではないか、と思う。
もはや、苦しむようなエネルギーが残っていない。
人の最後は、このように静かで、
何事もなく平穏に過ぎていく。
人は死んでも、何も変わらない。
これは、私の実感。
妻が亡くなっての実感。
生きていたときと、同じ状態が続く。
これが人の死。
だから、死を悲しむことはない。