牛乳からチーズを作る簡単さ、
今日は昼食にチーズをつまみにワイン。
ワインはマドンナ。
だが、牛乳がチーズに変わるメリットは少ない。
今年は、人にとって、死はないと、実感したのが大きい。
数年前から頭でわかっていたが、
実感がなかった。本当だろうか、と。
妻の死を体験し、強い実感を得た。
妻はいなくなったけど、存在感は生前よりも大きい。
生きていたとき以上のリアルさ。
生きていたときと違うのは、
55年間の妻が同時に実感できること。
生きていたときは、今この瞬間の妻だけ。
現在、あらゆる年齢で実感できる。
恋人が亡くなり寂しいという人がいる。
確かに、付き合って数日でいなくなれば、さびしいだろう。
まだ、存在感が薄いからだ。
私たち夫婦の場合は55年に近い。
充分に濃密な関係。
例えば、200年前に生きた
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ。
晩年の絵「黒い絵」は人に見せるために描いたものではない。
自分のために描いたもの。
その中で「犬」という絵がある。
まさに、ゴヤ本人の姿を描いている。
この絵を見ると、ゴヤは今も生きているようだ。
生きているという鮮明な印象を与える。
ゴヤの生きていた時代は、キリスト教的価値の世界。
この世は神と悪魔がしのぎを削る世界。
サトゥルヌスという神の一人は子供をむさぼる。
悪魔は人の中のあらゆるところにいる。
そういう世界。
この世に幸せや救いはあるのだろうか。
彼はないと確信していたようだ。
200年後に生きる私は、
この世は天国で楽園だと思う。
しかし、そう思わない人の方が圧倒的に多いのも現実。
ゴヤの世界と変わらぬ。