現実の世界と架空の世界、

違いはあるのだろうか。

 

例えば、映画を見て、小説を読んで、

感動したり、没頭して主人公になりきり、

時に、心配で不眠症になったり、食欲がなくなったり。

 

どちらも、人の意識がつくる世界だから、

基本的に違いはない。

 

人によっては、架空の世界で一生過ごす人もいる。

多くは、精神的な病に近いが。

 

多くの人は愛や恋という幻想を抱く。

これも架空の世界と云える。

 

私の妻(天使のひとり)は現実世界で死亡したが、

私の世界ではまだ健在。

日記などを読むと、新しい像が現れる。

まるで、今も対話しているようだ。

 

人は死なないとは、

こういうことだろう。

 

今の方が、生きていたときよりも強く、

ありありと感じることがある。

 

ある意味、実物がいない方が、

とても気楽でいい。

喧嘩はない、

意見の相違もない。

よいイメージだけが健在。

 

死んでほっとしたのは正直な感想。

これで、色々な心配事がなくなった。

年老いてくると、

心配ごとに対する処理能力が低下する。

つまり、対応できないストレスが増える。

 

私の長い一生。

多くの友人が死んでいる。

しかし、哀しく思ったことはない。

むしろ、ほっとした方が圧倒的に多い。

 

私は自分の死に対しても、

たぶん、同じ気持ちになるだろう。

死んでほっとするのは、

生きているからできること。