妻の同窓会の通知が来た。

さあ、返信をどうするか。

 

死亡したことを伝えるべきか。

それとも、返信はスルーか。

 

私の気持ち、正直なところ、

妻の死亡を知らせたくない。

 

妻の親しかった友人や、近所、

近い親戚(兄弟など)は仕方ないが、

それ以外の人に知らせたくない。

 

一番の理由は、

私が死を認めていない。

人は死なないと確信している。

虚偽の報告はしない方がいいと思う。

 

そんなことを言っても、

誰も分からないだろうが。

妄想としか感じないだろう。

だから、余計に言いたくない。

 

人にとって、終わりはある。

寿命のこと。

 

しかし、

それはとても良いこと。

誇らしいに近い。

自慢もできるが、

隠すのは良くない。

 

だが、良いことだと思う人は非常に稀。

たぶん、知り合いにはいないだろう。

 

残念ながら、人は死を体験できない。

あれこれ感想を述べるのは生きている人だけ。

 

体験という実感があるのが生きていること。

たとえ、それがマボロシだとしても。

実感はある。

 

体験も実感もないのが死。

少なくとも、マボロシでない。そこが救い。

 

死は間違いなく良いこと。

マボロシの終わり。

マラソンランナーが完走した気分。

これでようやく、ほっとできる。

やっと肩の荷が下せる。