長い人生で、いつの間にか消息不明になっている知人は多い。

知人ではないが、ネットで定期的に眺めていた人で、

数年して見たら、ホームページが更新されていないことがある。

 

約20年前になる。

自宅で遷延性意識障害の息子を介護している夫婦のページがあった。

息子さんは20代でオートバイ事故で脳を損傷。

いのちは助かったが、24時間介護を要する重度障害。

勿論、意識はない。植物状態。

10年以上介護しているという内容だった。

 

驚きは、毎日の夫婦の時間割が記されていた。

夜は3時間置きにオムツ交換と体位変換。

鼻腔栄養による流動食。

たんの吸引も一日数回以上。

蒸しタオルで身体清浄も定期的に。

夫婦の役割り分担で、毎日を乗り切っていた。

 

大変なことをされている、

私は驚嘆。

近所なら手伝いに行くのにと思った。

 

その後、私の娘(天使)が、

同様な状態になるかもしれないと主治医に言われたときは、

この夫婦と同じようなことをするだろう、と思った。

 

先日、交通事故による重度後遺症者の介護問題を記事で見た。

桑山さんは、「全国遷延性意識障害者・家族の会」の代表者。

息子さん7歳のとき家の近くで交通事故で脳を損傷。

以後、27年間、自宅で介護している。

週3回のデイサービスと約10名のヘルパーさんが交代で訪問介護。

夜間は、夫婦だけで介護。

夜中のたんの吸引は多い時で4回という。

 

日本では毎年、約300名が交通事故でこのような診断を受け、

24時間の介護が必要となっている。

 

国土交通省の資料によれば、

全国で約2000名いるという。

ここ20年、総人数に変化なし。

ということは、毎年、300名位が良くなるか、

死亡していることになる。

たぶん、死亡の方が多いだろう。

 

遷延性意識障害は、最も過酷な病と言える。

植物状態と言われることもある。

目覚めることがない障害。

呼吸以外に自力で何もできない。

勿論食べることもできない。

 

このような重い障害がある場合、

施設への入居は、非常に難しい。

対応できる施設が少ない。

自宅で介護するしかみちはない。

 

ホームページで見た夫婦の場合、

息子さんに意識が戻り、少し回復したのなら、

それを報告しているはずだが。