ある有名人の本の宣伝に。

「死んだら終わり」と。

 

バカじゃないかと私は思う。

80年以上生きてきて、

そんなことしか言えないのか。

そういえば、知り合いの心理士も同じことを言っていた。

なんと、愚かなことを言うなあ。

それで、人のこころの相談ができるなあ。

 

人は、死んだら終わりではない。

勿論、あの世があるわけではない。

瀬戸内さんは、あの世があるとして楽しみにした方がいい。と語っているが。

 

死はこの世で最後の救いだと私は思う。

ようやく、自我や私や自分という牢獄から自由になれる。

祝福すべき出来事。

祝うべきこと。

 

長生きするのはいいとは言えない。

早死にもいいとは言えないが。

 

生きることは自我との苦闘。

良いこともいっぱいあるが、

自我や私が実感するだけ。

自分という狭い牢獄。

 

また、人は誰も、死を体験できない。

死の直前に意識を失うからだ。

体験できないことは、ないと同じ。

故に人にとって、死はないと同じなのだ。

 

死がなければ、当然、死は終わりではない。

生命の始めも知らない人に終わりもない。

平明な事実。

疑うこともできない単純な真実。

 

人の生は、今、この瞬間だけ。

未来も過去もない。

概念や記憶はあるが。

それらは、人が創り上げたもの(幻想とも云える)。

頼りにはならない。

 

死は終わりではない。

もともとないものに終わりはない。