薬物依存や中毒について考えてみる。

 

薬物への依存は、当人のこころや気持ちが弱いから、という意見がある。

本当だろうか。

 

国連薬物犯罪事務所の発表した報告書では、

薬物を使って問題を抱えるようになるのは、

使用者のわずか10%という。

90%は依存症にならない。

 

1995年、WHOもコカインについて大規模な疫学調査をしている。

やはり、依存症になるのは10%程度らしい。

 

ラットを使う動物実験で、

普通の状態で、ラットは薬物を嗜好しない。

檻に入れられ、孤独になると、薬物に耽溺する。

 

しかし、薬物依存のラットたちも、

普通の状態に戻すと、すぐに薬物から解放されるようだ。

 

兵士たちも、薬物依存になりやすい。

薬物がなくて極限状態を乗り越えられない。

しかし、平和な国に戻ると、

95%以上の兵士が1年も経たないうちに、薬物を止めた。

以上は、ベトナム戦争の退役軍人の調査。

 

薬物で脳がやられ、死ぬまで依存するというのは、稀だという。

 

薬物からの離脱症状が耐えがたく深刻、という意見もあるが、

医学文献の調査では、離脱症状だけで死んだ人はいない、と言う。

 

依存症が急増した時期を調べた人がいう。

北米の先住民が土地と文化を奪われた時、

18世紀イギリス貧困層が住み慣れた土地から都会に追いやられた時、

アメリカのスラムで1980年代から、工場の職がなくなり、地域社会が崩壊したとき。

 

今日、依存症が増えているのは、社会の中で孤独を感じ、

拠り所を失ったように感じる人が増えているから。

いつも孤独を感じている人たちは、安心感を与えてくれるものを求める。

不安を忘れ、何も感じずにすむ。

充実した人生をおくる代わりに、薬漬けの生活となる。

 

つづく