私は、時に、若い頃、20代のことを思うと、

無事に生きてこれたのが不思議に感じる。

いつ死んでもおかしくないような不安定の中でもがいていた。

何度も奇跡の助けで生き延びてきたよう。

 

晩年になり、このような課題に挑戦できるというのも、

最高の奇跡かもしれません。

 

人の記憶に、短期記憶と長期記憶とあり、

短期は非常に短い間だけ脳に蓄えられるイメージ。

音声のイメージや映像のイメージ、味覚のイメージなど。

 

蓄えられると書いたが、

瞬時も休むことなく、脳神経ネットワークは作動している状態。

そして使われると、すぐに消える。

作動している状態がなくなるからだ。

 

長期記憶は、違う。

この作動している状態が、長期につづく。

長期に続くためには、短期とは違う回路が形成される。

その回路には、ほぼ全身の神経が関連する。

たくさんの回路が形成される方が、記憶が確かとなる。

 

つまり、思い出そうとするとき、

文字から入るか、音声から、モノから、

あるいは、匂いから、映像から、

きっかけが無数にありえる。

 

最初のトリガーとなる刺激の種類が豊富な程、

記憶は確かとなる。

 

そのためには、時々、

思い出すという、回路の作動が必要になる。

そして、思い出すことで、新しいトリガーが生まれる。

それにより、長期記憶が安定する。

 

しかし、思い出すたびに、

記憶の中身が修正される恐れもある。

回路のつながりや流れやすさが違うからだ。

 

Quoraの質問に、

赤ちゃんには、2歳より前の記憶がないというのは本当ですか?

 

私の回答は、

赤ちゃんでは、過去の記憶を思い出して定着する

長期記憶を形成する習慣がないので、普通は難しいでしょう。

しかし、赤ちゃんにとって特別な体験をし、

それを繰り返し思い出すようなことがあれば、

長期記憶もありえると思う。

 

言葉が未発達の赤ちゃんでは、言葉での記憶ができない。

映像か音声か触覚や味覚などの感覚記憶となる。

それらは、思い出そうとしても、言葉ではできない。

記憶情報はあるのだが、

回想して取り出す、トリガーがないのだ。

だから、記憶がないように、大人は判断してしまう。

 

(人の意識はどうして生まれるのか、シリーズ16)

 

つづく