私の特技は、2つある。
一つは、人を見ること。
ひとの全体像をありのままに認識する方法。
言葉で表現すると、どうしても一部の特徴だけになる。
全体を見るには、言葉はダメだ。
たぶん、年取れば誰もができるようになるだろう。
だから、特別なワザではない。
例えば、顔や姿を見れば、
その人のひととなりが、ある程度分かる。
人によっては、かなり深くまで。
私は若い頃、一時、
高橋和巳の本に没頭していた。
本を読んでいると、彼のしゃべり方が浮かんでくる。
その頃、
講演会で初めて、彼が話すのを聞いた。
その時、びっくりした。
予想していた話し方と同じだった。
しゃべり方の抑揚やスピードや間合い、
すべてが思い描いていたとおり。
声の調子が同じなのだ。
それと違うが、
ひとの外見があたえる印象というのは、
そのひとの全体像を示す。
たぶん、優れた占い師は、
顔を見るだけで分かるのだろう。
しかし、未来までは分からない。当然。
役者や政治家など、
常時、演技するのを仕事にしている人は、
なかなか分かりずらい。
全体像がありあり分かる、という目で、
あらためて、自分を鏡で見ると、
どこにでもいる普通の老人がいる。
特別な点は何もない。