子どもの保育や養育は親の責任というのが、
世の常識のようだ。
しかし、少し前まで、日本の大多数の家庭では
子どもの世話は祖父母や親族の役割だった。
親が身近でじかに世話するのは、乳飲み子のときだけだった。
2歳ともなると、年長の子が面倒を見た。
もっと年になると、家事の分担を担うようになる。
武家は、もっと厳しく、
親が面倒を見るよりも、他人に任せる。
親が世話すると甘やかすので悪い癖がつくからだ。
戦後の核家族は、育児の伝統を大きく変えた。
子どもを世話するのは、親だけになってしまった。
しかし、戦後のしばらくは、まだ地域社会が残っていた。
親ができなければ、近所の大人たちが代わりをした。
人類は誕生以来、数百万年を集団で生き延びてきた。
子育ては集団の仕事だった。
それが、
ここ100年、核家族化が進み。
親だけが担うようになった。
しかし、子育てに関しては、
どの親も、ほんの初心者。
何も知らない素人なのだ。
子育てを親任せにするのは、
とても危険。
社会が引き受けるのが当たり前。
地域社会には経験ある大人がいっぱいいる。
例えば、日本在住の外国人労働者の子どもたちの中で、
学校に行かない子が約2万人もいるという現実がある。
これは社会の責任ではないだろうか。