1980年代の初め、私は34歳で放射線技師の資格を得て、
町立病院で働きはじめた。
放射線技師5名の田舎の中核病院。
住居は庭付きの2軒長屋で、3K。
子どもたちは小さいので、広さは充分。
家賃は、7500円。
保育園の経費も、月5千円。これで昼食、おやつ込み。
送り迎えはないが、不自由なし。
手当ても含めて、税込みで約14万円の生活。
親子5名で快適に暮らせた。
1977年末の紅白の視聴率が77%。
高度成長の恩恵が末端までいきわたり、
福祉政策で西欧を追いかけていた。
その頃の日本は、まさに日本型社会主義。
国民総中流で、経済格差は縮小傾向。
中国やソ連と同レベルの平等社会だった。
累進課税や、法人税も高い。
それから約40年経つ。
グローバル化で、法人税も累進課税もアメリカ並みに。
アメリカ並みの格差社会になった。
消費者物価指数は下記
物価指数でみる限り、1980年代から、大きな上昇はない。
私の実感で云えば、光熱費と教育費と通信費を除けば、むしろ下がっている印象。
ただし、食費は50%以上上昇している感じ。
初任給は約2倍。
労働者の給与も、約2倍になったとすると。
物価が上がらなければ、生活の質は上昇していると言えるのだが。
今、日本の世帯の金融資産の平均は約2500万円。
ただし、中央値は700万円。
預金のない世帯が半分。
若者の失業者が約100万人。
さらに、ニートや引きこもりが約100万人。
移住労働者を増やすよりも、
彼らを支援して、教育や活用を考える方が、
よりコストが少なく、安全な社会を作れると思うのだが。
政府は、若者の就職支援に取り組んでいるとアピールする。
しかし、成功していると、言えない。
昨日、「精神科臨床のいまとこれから」という講演会に参加。
統合失調症、気分障害、発達障害と自閉症スペクトラムなどの理解についての講義。
精神科臨床は、患者さんがどのような体験をしているのか、
どのように苦しんでいるのか、を理解することが基本。
「理解すようとする行為、それ自体が治療となる。
他者から理解されることは、患者さんの生きる力を回復させるから。
今の医療では、そのような治療ができない。
施設も病院も職員が足りない。
理解するというような時間がかかることはできない。
世界に目を向ければ、すでに取り組んでいる国はあるが。
これからの日本、
教育や福祉や若者・障害者雇用などで、
人的なパワーが大量に必要になる。
若者たちを引き付ける魅力的な職場にしなくてはいけない。
政府の歳出は、この方面を中心にしてほしい。
これからの日本。
福祉や教育や雇用などで、
歳出拡大が求められる。
安倍政権は、女性の活躍、同一労働同一賃金、3%賃上げ、
高校教育や幼児教育無償、子育て支援など
いいことを言うが、すべて、予算が少なく実行できない。
歳入を増やすには、富裕税しかない。
日本で、金融資産1億円以上が約300万人。
しかし、資産の国外逃亡の恐れがある。
こればかりは、一国だけでの実現は難しい。
大幅な歳出カットをすれば、景気悪化の恐れ。
消費税を2%上げるだけでも、これだけの抵抗がある。
日本の政治がどうなるのか、とても心配。
野党は、もっと、しっかりしろ、言いたい。