日記を見ていたら、69歳の誕生日に書いた詩があった。

 

69歳の誕生日

 

愚かなままで迎える老年

祝ってくれる家族

幾つかの山を越えたが

幸運のお陰

 

さてこれから

天の助けは期待できない

自助も心もとない

 

青年の苦悩は、未来がある故だが

老人には選べない

ただ受け入れるしかない

 

若い頃には怖かった死も

老人はむしろ喜ばしい

 

夜汽車の窓に頬を寄せ

過ぎゆく山里の灯火

いつの間にか

この年になった

 

思い出は遠く淡い

今、迎える

ゆったりとした老後

もし、若き日に

この幸せを知っていたら

楽に生きられただろう

 

成果なき青春のさ迷い

愚かな思索やこだわり

思うように言葉が出ない

吃音のように

先の見えない人生はしばらく続くが

 

・・・

3年前と比べ、今はもっと、

死を受け入れやすくなっている。

この世への未練が減っている。

たぶん、できることが少なくなったお陰だろう。

 

現世についての不満もあまりない。

100年後については、楽観的。

21世紀は、前世紀以上に大変な時代だが、

もはや、大戦はないだろう。

だが、人類社会の苦しみは深い。

問題が複雑すぎる。

 

だが、普通の人は、

地域社会で小さな試みを重ねるしかないだろう。

そして、この世に特別な人はいない。