この世で、誰も疑うことができない真理。

と問いかけられたら。

私は、

「ひとは、皆等しく、愚かで弱く、脆い生きもの」

と答えます。

これだけは疑うことができない真理に近いと思います。

 

世の中には色々な人がいます。

神を見たとか、あるいは、自分が神であるとか。

また、

「私は愚かではない、誰よりも賢い」

「私は弱くない、私は世界一強い人間」

「私は脆くない、どんな困難にも打ち勝てる」

という人もいるかもしれません。

 

オームの麻原さんも一時期、そのくらい自信があったと推測できます。

世界中の悪魔を退治して、人類を救うくらいの気概があったのでしょう。

人の世に正しいことや正義はあると信じたのでしょう。

かつてのヒットラーも同様な信念をもっていたようです。

 

良い・悪いの基準は、時代や環境で変わります。

人の世、全ての価値は普遍でない、相対的です。

絶対的に正しいことは、どこを探してもないでしょう。

 

ひとは愚かで弱く脆い。

愚かなのは、脳の処理に限界があるからでしょう。

人ができるのは、外界の刺激の一部だけを感受・分析し

過去の経験をもとにして整理・判断。

偏った思考に陥るのを避けることはできません。

 

正しいと思い込んで、行動する。

まるで信じているがごとくの行動様式です。

 

信じるというのは、

根拠のないことがらを、根拠があると思い込み、

正しい基準として行動することではないでしょうか。

 

もし、そうならば、

人の脳が知っていることは、とても狭く浅く頼りにならない。

にもかかわらず、

まるで、真実であるがごとく、

信用してしまう。

そんな人の行動様式を見ると、

ほとんどの人は何かを信じているのではないかと

推測できます。

 

ひとは客観的にものを見ることはできません。

機器を使用して測定はできますが。

しかし、機器は一部しか測定できない。

故に、ひとの思考は、信じるに近いものです。

多くの人は、自分信仰でしょうか。

 

私もひとなので、自分信仰の信者かもしれない。

様々な偏見や誤謬にまみれています。

いくらかは意識していますが、ほとんどは意識されません。

 

たぶん、愚かなままで死ぬのだと思います。

しかし、愚かさの中にも幸せだけはあるようです。