演劇によるまちづくりを図る富士見市。
人口約10万の東京近郊の小都市。
ここに、2002年、市政30年記念の文化会館(公共ホール)が誕生した。
開館のプロデューサーで呼ばれたのが平田オリザ氏。
「新しい広場をつくる」平田オリザ著(岩波書店)
平田さんは優れたリーダー。
日本で初めて、市民から選ばれた芸術監督。
そこで、様々なことを始める。
具体的に書けば長くなるので省略。(上記の本に書いてある)
中心となる思いは、
文化会館は、鑑賞事業だけをやるのではない。
つまり、貸し館だけを行うハコモノではいけない。という点。
文化の創造、発信、
文化を通じて交流(コミュニティ活性化)
さらに学習や教育。
これらを実現しないと意味ない。
私の住んでいるまちにも立派な文化会館がある。
もちろん、ハコモノ。
貸し館事業が中心。
毎年億円の補助をもらい、貸館をしている。
なになに歌謡ショーなど。
市の文化レベルが高まったという印象はない。
東京などで鑑賞できる芸術のおこぼれが地方にもやってくるという感じ。
地方から文化創造・発信となると、
普通の人では、考えもつかないかもしれないが
よその県から観客を呼べるような優れた作品を自前でつくり、
それを維持していくということ。
地域社会で文化といえば、
文化祭をみればわかる。
趣味や楽しみは人により多種多様。
カラオケが好きな人もいる。
音楽だけでもシャンソンから民謡など。
日本舞踊やキッズダンスから盆栽まで色々。
各人が趣味に楽しんで、人生を謳歌。
それが地域社会で可能な上限だろう。
例えば、市民参加のミュージカルを考える。
基本的に、参加者の楽しみや交流が目的であり、
受益者負担が当然の民間事業になる。
文化会館を拠点にして税金を使って事業するには、
文化の創造・発信が目的になる。
芸術に親しむだけの文化でもいいかもしれない。
しかし、
10万の市民の誇りにできる財産、創作演劇を生み出し、
全国から観客が呼べるなら、
これは明らかに地域づくりになる。
交流人口も増えるし、地域にお金が落ちる。
文化によるまちづくりが目指すのは、そういうもの。
地域社会と学校と議会や行政も巻き込み、
地域づくりにつながるような
演劇によるまちづくり。
それが可能なのだ。
つづく