1982年3月出版の詩集「あいとゆめ」から

 

思い出

 

教室の窓から

夏の真白い雲

あの柔らかな

白い平原のかなたに

確かに

かたい台地があると

僕は信じた

 

前に進めぬ空回り

消耗する一人相撲

追い抜いていく時間

だが

僕の心のもやには

確かに

かたい芯があると

僕は信じた

 

学生服に重いカバン

プラタナスの並木

歩きながら夢見た

理想の自己像

 

僕の未来には

確かに

かたい真実があると

僕は信じた