1982年3月出版の詩集「あいとゆめ」から
愛の語らい
「むなしいってなに」
君は尋ねる
「空しいということはね
いくら一生懸命に努めても
なんにもならないことなんだよ」
「では さびしいってなに」
「淋しいということはね
あふれる愛の思いが
すこしも相手に伝わらないことなんだよ」
・・・
恋人へ
こころの奥深い森の中に
静かな泉があって
水面は鏡のようで
そっと のぞくと
心の本当の姿がわかるという
泉のそばで
耳をすますと
こころのかすかな悲鳴も
聞こえるという
・・・
みずうみ
夏の夜
満月さえる湖に
真白き小舟を浮かべ
夜霧のかすむなか
睡蓮の匂うがごとき
やさしくあわく
清らかな
月光の妖精
君と遊ぶ
小さきビオロンで
セレナーデ
燃える想いをこめて
愛の詩をうたう
歌声は水面に波紋を
君の瞳に
さざ波ゆれる
抱きしめると
もろく くずれ
星屑となって
湖上を散り
キラキラとただよう
やがて
光の粒はあつまり
睡蓮が
あらわれる
・・・
若い頃の詩をよむと
いくらか恥ずかしい。
人生は長い。
青春の夢は、だいたい叶う。
世の中を変える夢だけは、
実現できなかった。が