欲しがりません、勝つまでは。

黙って働き、笑って納税。

いずれも、戦時中の標語。

 

戦時下、国民全員が我慢して耐えるしかない。

1億総我慢比べ、非常時なのだ。

 

幕末の長州は、藩の収入が5万両。

借金は、130万両となっていた。

1831年は農民10万人の一揆が発生。

以後毎年のように起こる。

この頃の農民の租税(コメ中心)は、実質9割に達した。

ただし、コメ以外の産物は除くが。

 

1838年に財政改革に着手した村田清風たち。

この年は、幕府から甲州の河川修理に6万両が藩に課せられている。

 

さて、どんな改革だったのか。

武士たちは、俸給は90%カット。

借金は、実質的に棒引き。

 

商人や農民たちの不満を抑えるために、

新たな商取引の自由を与える。

それまでの専売品を自由販売にするなど。

商品の売り上げを伸ばして税収増を狙う。

 

それでどうにか凌いだ様子だが、

一番大きい要素は、

「時局ひっ迫」という宣伝。

 

あらゆる方法で、広報がなされた。

実際、この時期の長州は戦争の連続。

 

いくさの最中なので、不満は起こらなかった。

黙って働き、笑って納税。

 

今、日本の借金は、1000兆円。

この借金の棒引きはできない。

何故なら、債権者の約10%が外国人。

 

長州の例に倣うなら、

公務員の俸給カットは90%。

これも不可能だろう。

半額で許してもらえるかどうか。

 

税は、現在、すでに50%に近付いている。

消費税を20%に上げるしかないが。

 

しかし、幕末の長州のように、

商活動活性化で税増収は期待できない。

すでにモノの生産による経済発展の時代は過ぎてしまった。

 

幕末の長州よりも現在の方がきびしい。