天使(娘)は発病して、まる6年になる。

初めの1年半は、自分で食べることができなかった。

毎日3食を食べさせるのは、大変。

一口づつ、スプーンで口に運ぶ。

毎食20分だが、くたびれる。

長く続けられないと感じていたら。

 

リハビリ箸を握ることで使えるようになった。

普通に箸をつかむやり方ではなく、

自転車のハンドルを握るように、

リハビリ箸をつかむと、

食べ物をはさむことができた。

不思議な箸の使い方。

 

たぶん、こんな方法で

箸を使う人は稀だろう。

 

しかし、自分で食べられるようになった。

私たち親は、とてもほっとした。

 

そのうちに、

箸のつかみ方も、

普通になった。

 

しかし、コップで飲むことはできなかった。

どこに行っても、ストローは必需品。

 

ところが、

先日、モスバーガーで、

コップのスープを飲み干した。

驚き。

今日、デイサービスからの帰宅時、

職員の方が、ストローなしで汁粉を飲んだという。

 

夕食で、試みると、

ストローなしでコップからお茶が飲めた。

 

天使は、これ以上の進歩がないと思っていたが、

まだ前に進んでいる。

 

今日のデイサービスで、

今年の抱負を各人が書いたらしい。

何と書いたか、尋ねたら。

口では答えられない。

「言葉が出ない」と言う。

 

しかし、紙とエンピツを渡すと、

「前向きに」と書いた。

 

天使は、書いて伝えることはできない。

デイサービスで書いたことの一部を記憶しているようす。

 

「前向きに生きる」と書いたのじゃあない、と

私が付け加えると、

「思い出した」と天使が答えた。

 

天使らしい良い表現だ。