人は死期が分かると書いた。
さらに、
死は怖くない。
若い頃、誰も死ぬのが怖い。
当たり前。
生命力にあふれ、
生きることに精一杯。
死への準備に入るのは早すぎる。
人類誕生以来、
いったいどのくらいの数の死があったのだろう。
死の恐怖が巨大であればあるほど、
死に臨む恐怖を和らげるために、
それを楽しむような脳内の仕掛けの進化があっても
おかしくない。
当然、進化が生じる。
多数の臨死体験からの聞き取りによると、
死の間際で、
死の怖さを忘れるほどに、
美しいイメージが現れるという。
例えば、美しい花畑など。
人が生きてきた中で、
楽しかったことや、
充実していた瞬間を思い出す
とっておきのイメージが、
蓄えられている記憶の座がある。
人が死ぬとき、
その記憶が解き放たれる。
一生の総決算、
脳の最後の役目として。
美しいイメージを
たくさん蓄えている人は、
一瞬の間に、
無数のイメージが奔流。
まさに、恍惚となる。