注文していた本が昨日来た。
「捏造の科学者」須田桃子著。
小保方晴子「あの日」で、私を追い詰めた毎日新聞の記者として
名指しされた人だ。
「捏造の科学者」は2014年11月。
「あの日」は2016年1月発売。
一年以上の時間経過がある。
「あの日」は、小保方さんの心の傷が癒えていないのか、
心情吐露の感想文のような文章。
あっさりとして、もの足りない。
もう少し丁寧に自己主張すればいいのにと感じたが、
「捏造の科学者」は、事実関係をきちんと整理して書いてあり、
さすがに科学専門の記者が書いた、内容の濃いドキュメンタリーだ。
本を比べる限り、大人と子どものような差がある。
小保方さんの本は、「捏造の科学者」が出版されて1年以上あと。
当然、この本は読んでいなくてはいけない。
小保方さんを一番苦しめた張本人が書いた本だ。
殺意さえ抱いたと本に書いている。
なのに、この本のことは何も書いてなかった。
「捏造の科学者」を読む限り、
小保方さんの不正は、意図的であると推測せざるをえない。
「あの日」で、小保方さんの文に、
私は、まったく罪の意識を感じなかった。
すべて自然ないきさつで、小保方さんは被害者。
一部に単純ミスがあっただけと、反省はしているが。
小保方さんが、
科学者としての通常の訓練を受けていないのは
事実らしい。
それを差し引いても、
小保方さんの不正を、単純ミスとみるのは難しい。
それにしても、小保方さんの研究チームの方々も
同じ責めをおうべきだと私は感じるのだが。
小保方さんだけに責任を押し付けるのも、
納得できない。
須田桃子さんは書いている。
「言うまでもないが、現実には、科学者も組織の一員であり、
守るべき立場や生活がある。プライドや虚栄心もあり、
ライバルとの激烈な競争に神経をすり減らすこともある。
人間なら誰しも持つ弱さを、科学者もまた持っていることを
取材を通して痛感した。」
また、最後に書いている。
「同業他社との熾烈な競争にも、心底、消耗させられた。」と
この部分の感想は、小保方さんと類似点があっておもしろい。
今回、小保方さんの本だけを読んで、先に、感想を書いてしまったことを
後悔するはめになった。
やはり、両方の立場を知ったうえで、意見を書かなければいけないと、
私もあらためて反省している。
今日の新聞紙面で、
ミャンマーのロヒンギャ問題で、スーチーさんへの非難が拡大している様子。
この問題については、また書こうと思う。
このように一方的に非難が高まるときは
注意しなくてはならない。
情報の偏りが甚だしい場合が多い。