なぜ、人工知能は感情が持てないか。
生命の基本は、
1つ、物質の代謝ができる。
外側から物質を取り入れてエネルギーに変えること。
2つ、次世代を残せる(生殖)
人間は約60兆の細胞と200兆以上の寄生菌類
で成り立つ複雑な系です。
一見、統一しているように見えて、
実は各部分が独自の判断で動いている。
しかし、分解しないのは、
神経系や免疫系など、全体を緊密につなぐネットワークがあるから。
複雑過ぎて故障も多いが(多様な病気)。
頭脳も複雑で、
一見、まとまっているが、
実は多重人格で重層的な感情系がある。
人格の同一性や継続性は、個々人の思い込みにすぎない。
感情がどのように出来上がっていくのか、
これが面白い。
受精以来、人が外界から受ける情報は、感覚情報だ。
勿論、筋肉運動系の感覚情報も含まれる。
感覚情報の中心は、皮膚にある。
皮膚には、
多種類の感覚末端が重層的に展開している。
皮膚には視覚も嗅覚もなにもかもあると言われている。
全身からの感覚情報が積み重ねられて、感情が作られていく。
体験とは、感覚情報の総体のことだ。
視覚や聴覚は重要に思えるが、皮膚に比べれば、
圧倒的に重要性は薄い。
サルの成長観察でも知られているが、
皮膚感覚なしで育つと、
普通のサルにはならない。(重度の精神症状)
人も同じだ。
感覚情報は皮膚感覚(筋肉運動系も含む)を中心に
形成される。
赤ちゃんが育つには、
素肌の接触が不可欠。
感覚情報は、記憶として保持され、
ほとんど意識されない。
意識されない感覚情報の巨大な集積から
感情が作られる。
人工知能にできないのは、この過程だ。
母親の母胎と同様な環境をつくり、
そこで生命を育てることができたとするなら、
それは人間にしかなれない。
人工知能ではない。
人間が育つのと同じような、育ち方ができる
肉体を備えた人工知能が可能だとしても、
それは、人間にしかなれない。
人工知能ではない。
要するに、
優れた視覚と聴覚を備えた、
人工知能ができたとしても、
皮膚感覚情報を同時に蓄積できないならば、
感情は育たない。
皮膚感覚は双方向のネットワークだ。
頭脳から一方的に指令される系ではない。
各部分が独立している。
双方向のネットワークであること。
しかも、特別に複雑。
さらに、受精以来の
ゆっくりとした長時間の成長が必要不可欠なのだ。
感情は単色ではない、
複雑で立体的な抽象模様だ。
好きと嫌いは同時にあり、
時には匂いに色があり、
音にも光や色彩が絡んで、
本人にさえも分からない影やらイメージが付随、
要するに感情は豊か過ぎる。
簡単に言えば、クオリア。
この質感は、人工知能には不可能。