この提案は、9月5日に市長へ提出したものです。
市長への提案
「子どもの貧困の実態調査と、貧困支援のための地域ネットワークづくりについて」
厚生労働省の調査によると、子どもの貧困率が近年上昇を続け、16%(子ども6人に一人の割合)を超えています。2012年のデータで、貧困ラインは親子2人世帯で月14万位(健康保険等は除き、児童手当は含む)。貧困ラインを下回る収入の世帯を並べ、中央値が大体、親子2人世帯で月10万位となります。
市長さんもご存じのように、貧困は収入だけの問題ではありません。貧困の連鎖と言われる実態があります。例えば母子家庭の場合、母親の就業は約80%、病気で働けない親以外はほとんど働いています。非正規が半数以上で安定した収入になっていません。育児のための時間がとれない親がいます。
幼児期の会話の少なさ、ふれあいの少なさ、学齢期になれば、同級生に比べて学用品や習い事などで明白な格差が生じます。
貧困家庭の子どもは親を思い、普通の子どものように求めなくなり、意欲も低下、社会から引きこもる傾向があります。親はやりくりで精神的に追い詰められ、子どもたちの成長にも影響が表われます。当然、進学率も低くなります。
統計調査で貧困の深刻さが伺われますが、詳しい実態については分かっていません。このような状況を踏まえ、政府は平成25年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」、同26年に「子供の貧困対策に関する大綱」を策定しました。その重点施策として、教育の支援、生活の支援、子供の貧困の実態把握、自治体の取り組みの支援が盛り込まれています。
平成28年、子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業(交付金要綱)には多くの自治体が名乗りを上げています。
当事業は、経済的に厳しい状況におかれた家庭の子供たちの学習支援や居場所づくりなどを、地域の実情を踏まえ、各種施策を組み合わせるなど創意工夫を凝らし、関係行政機関、自治会、学校、NPOなどのネットワーク形成を支援するものです。
当市においても、子どもの誕生から成人するまで、切れ目なく、親子を対象に相談の窓口が設置されています。
経済的に厳しい状況にある家庭は、精神的に追い詰められている場合が多く、窓口に至るまで時間がかかります。その間に、虐待やいじめや病気に陥ることも考えられます。問題が生じる前に、適切な支援がなされることを切望しています。
当事業を使い、子どもの貧困の実態を把握すると同時に、支援するネットワーク形成を強化していくことができるのではないかと思います。
次に、実態把握とネットワーク形成の私案を述べます。
実態把握のやり方。
・市内の幼児保育教育施設の園児、並びに小中高に在籍の生徒たちの保護者の全員にアンケートの手紙を出します。
アンケートの手法で実情や本音を引き出すには、細心の注意と工夫を要します。当実態調査が成功するかどうかは、アンケートの文に懸かっています。
貧困といじめ・非行は関連があるので、注意しなくてはいけません。
アンケートの主な項目(私案)
1、子育てや家計の苦しさなどの悩みがあるとき尋ねる
相談窓口を知っていますか。(どちらかに○をつける)
知っている 知らない
2、(主観的な判断でよいと断ります。複数○でもよい)
①家庭の経済状態を尋ねます。
・楽に生活できる
・節約すれば普通に生活できる
・やりくりが大変
・欲しいものも買えないが借金はない
・毎月赤字で子供に我慢させている
②子どもとふれあう時間が充分とれるかどうかを尋ねます。
・時間がたっぷりある
・できるだけ子供とふれあうようにしている
・忙しいので子供の相手ができない時もある
・時々、子育てを投げ出したくなる
・親にゆとりがないので、子どもにはかまっておれない。
③子どもの学習意欲を尋ねます
・自分から進んで学ぼうとしている
・習い事や塾など、できるだけ子どもにさせている
・親が注意しないと、家では勉強しない
・子どもの自由にさせている
・勉強は嫌いなようだ
④友達付き合いについて尋ねます
・友達が多い
・外で遊ぶことが多い
・家に友達が来ることが多い
・家で一人遊びが好きなようだ
・友達はいないようだ
3、生活が苦しくなっても、人に頼らずにやっていきたいと思いますか。
そう思う そう思わない
4、今、子育てや日常生活で、自分ひとりではどうにもできない問題をかかえていますか。
そう思う そう思わない
5、自由記載欄も必要かと思います
高校生は親だけでなく、本人へもアンケートします
アンケートの主な文面(私案)
(主観的な判断でよいと断ります、複数○でもよい)
1、進学(大学や専門学校など)について尋ねます
・できれば進学したいが、家庭の経済的事情で諦めている。
・できれば進学したいが、進学後の経済的な困難さが予想される。
・進学について経済的不安はない。
・奨学金とバイトしながらの進学を考えている。
・将来の奨学金返済が不安である。
・希望の働き口があるので、高校卒業後は就職する。
・希望の職種はないが、とりあえず就職して将来を考える。
・専門学校に行き、資格取得を目指す
・高3になってから進路を考える
・進路は考えたくない(考えてもどうにもならない)
2、今、学校の勉強や友達付き合い、また生活の上で、
自分ではどうにもできない問題がありますか。
(例えば、吃音、いじめ、事故、親の離婚等)
問題がある 問題はない
3、自由記載欄も必要かと思います。
中学生に対しても、直接本人へアンケートする方が沢山の情報が得られると思います。
もし必要なら私の案を提供します。
アンケート文の決定には、数回の会議が必要となります。
上記のアンケート先以外、乳児家庭全戸訪問や子育て支援センターで把握している乳児や幼児を抱える親に対しても、アンケートする必要があります。
これ以外に、もれている可能性があるので、住民課や民生委員と情報交換して調べることも必要だと思います。
アンケート回収の後、アンケートの整理と活用を考えなくてはいけません。
問題が伺われるケースを一覧にして、学校、コミュニティ、児童相談所、子育て支援センター、福祉課、警察など子供の福祉・教育関連の団体がネットワークをつくり、ケースごとに協議する場を作らなくてはならないと思います。
すでにある子供・学校関連の地域ネットワーク協議会を使うことも考えられます。秘守義務を付けてボランティアを含む地域の関係者が多く加わる方が、より効果的な情報収集や支援ができるのではないかと思います。
また、アンケートが回収できない家庭には、直接訪問しての聞き取りが必要となります。
広報4月1日号、平成28年度施政方針で市長は、重点施策のトップに「社会で育む少子化対策プロジェクト」を掲げています。
「子育てするなら当市」の公約実現に向け、多様なプロジェクトが計画・実施されていますが、
上記アンケートや戸別訪問を踏まえ、学校・地域の支援ネットワークが強化され、子どもたちへの支援も成果をあげることを期待しています。
例えば、必要ならば、こども食堂や学習支援の無料塾などの開設も検討し、子どもたちの成長を支援する体制が日本一になることを願っています。
そうなれば、当市が「子育て日本一のまち」になることも夢ではないと思います。
子どもの貧困についての実態調査、子供がいる全世帯への調査は、小規模の自治体を除けば、実例が少ないのではないかと思います。当市の取り組みが全国に広がっていくこと願ってやみません。
是非、市長のリーダーシップのもとで実現して欲しく、提案ボックスを使うことにいたしました。よろしくお願いいたします。