初恋は、一生忘れられないもの。

 

妻の場合、小2の学芸会から意識し始め、

知り染めてずっと、変わらず、

同じ人を思っていたという。

私は偶然、大学の後輩だったので顔を知っていた。

これも不思議な縁。

 

私の初恋は中学になってから。

初恋の前に、同性を好きになる時期があった。

一緒に遊ぶ仲間が私の関心の的。

(スタンバイミーや十五少年漂流記の時代)

しかし、すぐに異性にひかれるようになった。

初恋。

 

目がきらきら、活発な一年下の女子を好きになった。

運動会の準備で、

所属する組(紅組とか)の応援の砦を作るために、

夜遅くまで生徒が校庭に残って作業をしていた。

その輪の中で、その女子がいた。

男子生徒が多いなかで、目立つ女子だった。

 

好き(一目惚れ)になってから、

休み時間のたびに、

彼女の教室の近くの廊下で、

出てくるのを待っていた。

顔を見るだけで、とても満足だった。

 

時には、友人を誘って、

「かわいいだろ」と彼女を自慢した。

その友人は、今でも私と出会うたびに、

そのことを話題にする。

「興味もないのに、無理やり引っ張って

見に行かされて、迷惑だった」という口ぶり。

 

卒業するまで、ずっと、

ストーカーのように彼女の追っかけ。

(ただし学内だけ、さらに距離をおいて)

多分、彼女は勘付いていたと思う。

(女性は男に比べて格段に敏感だから)

だが、彼女のファンは多かったようだ。

多分、私は彼女の好みではなかったのだろう。

 

高校に入り、

翌年に彼女が同じ高校に来ることを待っていた。

だが、彼女は入学しなかった。

別の高校に行ったのだろう。

 

それからだいぶ経って、

(10年後くらい)

後輩の卒業アルバムを借りて、

彼女を探した。

 

ところが、卒業生450名の中で、彼女が識別できない。

(名前を知らなかった、そのうちに知る機会がくると思って)

 

中学時代、あれほど毎日、何度も見ていた顔が

分からないという不思議さ。

こんなことがあるのだろうか。

キツネに騙されたような体験。

 

それでも、初恋の思い出は、

今も記憶に残っている。

 

とにかく、授業が終わり、休み時間になれば、

いそいそと彼女の教室の近くまで行って、

じっと、出てくるのを待っていた。

遠くから顔を確認するだけで、

満たされた気持になった。

とても幸せだった。

 

初恋はいいね。