吃音のこと その1
誰も、若い頃は、自己の内部で戦っていることがある。
孤立無援で、明るい展望もなく、
その多くはコンプレックスと呼ばれるもの。
大人になり、人並みだという自信が大きくなるにつれて、
相対的に悩みは軽くなっていく。
私の場合、その一つが吃音。
10歳で始まり、20代が一番ひどく、30代で軽くなっていき、
40代で消えていった。治るまで約40年かかった。
吃音が消え、一番驚いたことは、頭で考えながら、口でしゃべれること。
吃音の人は、考えることと、話すことは、全く異なる作業で、
同時にできない。
10の項目を考えていても、その中で1つ、口に出せれば、
満足するしかない。
要するに、何を話すかということよりも、
いかに、言葉を発するか、に
全神経を集中させなくてはならない。
普通の人は、歩こうと意思しなくても、
身体が自然に動く。
おはようと、言葉を出そうとすると、
口から自然と言葉が出てくる。
それができなくなるのが吃音。
続く