私はまだ頭はしゃっきりしているつもりだったので、いくつかを実際に自分で見て判断しようと思いました。その際は遠路きてもらった子や孫に同行願いました。老人だけでは施設側も本気に対応してくれないと聞きました。
三つのホームを見学しました。長年すみなれた町を出る気はなかったのでこの市内で探すことにしました。
一つはイロハ苑。比較的新しくて食堂や浴室や玄関がひろびろしてゆとりあり。全室にベランダあり。介護要だが自立生活できる人を対象にしたフロアと、もっと重度の介護要のフロアと、まったく自立生活ができない特別養護老人ホームのフロアがあります。特養に行きたくはないが、万一のときはおいだされずに済むだろうと思いました。
職員は愛想もないがそっけなくもなく淡々としていました。職員は三十歳代が少し、四十代 五十代と見えました。ここは入所金が百数十万円で月の経費が十五万円くらいでした。
翌日は新築の立派なホームを見学しました。この町では一番立派なホームです。入所金が一千二百万円からで月の基本経費が二十万円以上。設備がよく、共有室も大きくコーナーにピアノが目につきました。食事の内容がとてもよく見えました。洗濯は自分でせずにすべて施設にまかせること。介護認定が2ならこの介護限度までの費用が乗ること。イロハ苑はうけたサービス分の介護費用だけが請求になります。施設によって計算が違うことがわかりました。ここの職員は若い人が多いという印象でした。
この立派ホームは町の中心地にあって外出に便利で付属の医療機関も内外にかかえていて便利この上なく見えました。廊下や玄関はとても大きくて立派ですが、部屋の大きさはイロハ苑とそう変わりません。イロハ苑は標準タイプが二十二平米.立派ホームは二十-三十三平米.これは意外でした。
立派ホームを見学に行ったときにちょっとひっかかることがありました。電話予約をいれて日曜日の昼ごろに訪問しました。窓口の女性に「ただいま担当者がご説明しますので少々お待ちください」と言われて孫と一緒にラウンジで待つことになりました。
ずいぶん待たされて、やがて若い男性がでてきて丁寧に案内してくれました。終わって退出した後で孫が言いました。
「あの人はたばこの臭いがきつかったね。たばこを吸う時間待たされたんだと思う」これが選択の判断するときの減点になりました。それにもっと大きな理由は、立派なホームは豪勢な人ばかりいるのだろうという尻込みがありました。見学している間、廊下を歩いている住人は一人もいないし、談話室で話す人もだれも見かけませんでした。
もう一つは元気ホーム。職員がぱきぱきして私たち元気です、というムードいっぱい。費用は入所に三百万円から。月経費は十七万円くらいから。これも街中にあって便利。ただ庭がない、共有スペースが非常に小さい。部屋は小ぶり。さらにゴミ箱がいっぱいになっているのがあちこちに見える。ここは選択除外となりました。
最初に訪問したいろは苑に入ることに決めました。