本記事はTwitterの凜花(@ogatakourinpa)の#琳華集でのツイートの内、行った展覧会についての感想の呟きを手短にまとめたものである。

 

2018年5月に行った展覧会

 

東西美人画の名作@東京芸術大学大学美術館 5/1火

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 風俗図や寛文美人をはじめとする近世初期から松園ら近代の美人画までの系譜を、東西に分けて総覧する。気品あるもの卑俗なもの、さまざまな諸相を観られた。自分は京都画壇よりも東京画壇のほうが好みであることを再確認。山川秀峰「序の舞」は心地良い緊張がよかった。

 

木島櫻谷+PartⅡ木島櫻谷の「四季連作屛風」+近代花鳥図屛風尽し@泉屋博古館分館 5/2水

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 櫻谷の「四季連作屏風」を目玉に京都画壇の花鳥画を展示。きわめて琳派風で鮮やかな発色が目を愉しませた。参考出品の田能村直入「設色花卉図巻」も中国絵画をよく学んだものでよかった。

 

美祭・長沢芦雪展@加島美術 5/2水

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 ガラスケースなしで作品を観る。抱一や応挙らビッグネームがいくつか。長沢芦雪展には写実的なものもあれば、洒脱なものも。

 

再訪:平成30年 新指定 国宝・重要文化財@東京国立博物館本館 5/2水

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 「日月山水図屏風」が目当て。金銀を贅沢にほどこし松や波が踊る。大和絵らしい装飾性から平安時代の「つくりもの」の文化を考えた。

 

リアル 最大の奇抜@府中市美術館 5/3木 図録購入

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 「近世絵画におけるリアルとは何か」をテーマにした意欲的な展示。教科書に載らないような地方絵師もまじえながら、リアルの定義の不確かさを考えた。こんなに学芸員の仕事が感じられる、そして頭を使う展覧会は久し振りだった。

 

光琳と乾山@根津美術館 5/11金

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 光琳のみならず、向付や鉢など乾山の業績も展示。「燕子花図」「白楽天図」など光琳の代表作もさることながら、洒脱な乾山のセンスも愉しんだ。光琳乾山兄弟と渡辺始興の関係も研究が進んでおり興味深い。

 

百花繚乱列島―江戸諸国絵師(うまいもん)めぐり―@千葉市美術館 5/17木

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 全国津々浦々からたっぷり180点、多種多様な絵師の作品を巡る。林十江、山本梅逸、田中訥言、祇園井特などなど、さまざまな作風が愉しい。絵師たちの藩、国を越えた交流も盛ん。地方絵師の作品をこれだけ集めた学芸員の仕事にはひれ伏すほかない。

 

池大雅 天衣無縫の旅の画家@京都国立博物館 5/19土 図録購入

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 文人画の大家池大雅の回顧展。一見地味な文人画だが、大雅の創意工夫がうかがえた。指の腹を使ったのか爪を使ったのかなど想像するのが愉しい指墨画や、大雅の目線を疑似体験できる真景図、そして中国への憧憬が投影された伸びやかな大画面屏風で大雅の画業を味わえた。

 

再々訪:名作誕生 つながる日本美術@東京国立博物館平成館 5/25金

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 山雪と蕭白の「富士三保松原図屏風」の比較は、両者の美意識の違いがよく表れていて面白い。舟木本の洛中洛外図は活況を克明に捉えており見事。市井の喜怒哀楽をつぶさに張り付いて鑑賞。彦根屏風は細かい描写とうすら寒い空気に惹かれた。

 

 今月は9つも展覧会を回れた。特によかったのがリアル展であった。一つの問題意識をもって作品が並べられており、中身のつまった本当の意味で良い展覧会であった。今年のベスト10候補である。百花繚乱列島展も全国の作品がまんべんなく集まっており、観応えがあった。惜しむらくは自分の集中力のなさであり、千葉市美の展示室の広さはまだ慣れない。大雅展は予習をせずに行ったので理解度はイマイチではあるものの、彼の作品が一堂に会していたので必見であった。文人画を学ぼうとした時に必ずこの鑑賞経験が活きてくるだろう。とにかく早く図録を消化せねば(もちろん大雅展以外にも積読図録はたくさんあるのだが)