本記事はTwitterの凜花(@ogatakourinpa)の#琳華集でのツイートの内、行った展覧会についての感想の呟きを手短にまとめたものである。

 

2018年2月に行った展覧会

 

幕末・明治 激動する浮世絵太田記念美術館 2/3土

講演会「明治浮世絵にみる「江戸」-楊洲周延を中心に」by村瀬可奈

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https://ameblo.jp/ringean/entry-12350470224.html

 

 幕末から明治にかけて摺られた、メディア性の強い浮世絵が展示されていた。開化風俗、西南、日清戦争を題材とするなどタイムリーさが面白かった。随所にみられる高い木版技術も見どころ。小林清親の肉筆画も巧みだった。

 講演会も拝聴。幕末、明治を生きた楊洲周延の画業をたどりながら、明治時代における江戸回顧の風潮を解説。注目されることが少ない明治時代の浮世絵についてだったので、目新しい情報が多く楽しかった。

 

いのちの交歓国学院大学博物館 2/8木

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/961867973571985408

 

 人と動物の食べる/食べられるという命のやりとりの関係を、古事記の記述や岡本太郎、現代作家の作品とともに問い直す展示。弥生時代の土器や石器、動物の骨、狩猟のドキュメンタリー映像など、さまざまな視点から命のやりとりを眺める。

 

再訪:墨と金根津美術館 2/8木

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/961872670433267712

 

 犬追物図と百椿図が目当て。犬追物図は遊楽図の性格が強く、犬追物を観戦しにきた民衆の生き生きとした描写が観ていて飽きなかった。百椿図は発色のよい絵具で意匠的に濃密に描かれた椿が目を楽しませた。

 

歌川国貞静嘉堂文庫美術館 2/10土 図録購入

講演会「粋でイナセな浮世絵師、歌川国貞」by小林忠

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/962690732749279243

https://ameblo.jp/ringean/entry-12353383676.html

 

 江戸の風俗を活写した粋のいい浮世絵が並んでいた。男の職業を女に見立てたり、化粧する女を丸鏡にトリミングしたりと、発想の利いたものが面白かった。

 講演会も拝聴。作品をスライドに出しながら、国貞の画業を解説。聴衆の笑いも取りながらも浮世絵の観方のコツに触れるなど、楽しい講演だった。

 

仁和寺と御室派のみほとけ東京国立博物館平成館 2/12土

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/964694737029537792

 

 仁和寺のことがよく分かる展示。冒頭から皇室との関係の深さが知られ、修法の展示では仏画や白描図像がズラリと並ぶ。宝物の展示では方丈記、延喜式などが並び、非常に見応えのある展示だった。後半の仏像の展示は展示替えがないので再訪で観る。

 

横山大観山種美術館 2/21水

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/967043037367910403

 

 山種の大観作品を一気に観られる。どれも骨太で雄大でよかった。

 

幻想と文学鏑木清方記念美術館 2/22木

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/967046689864339457

 

 こぢんまりとした門構えの風情ある美術館。小説の挿絵などが展示されていた。インターンの院生(?)さんが解説してくれた。鶴岡八幡宮など、鎌倉観光もした。

 

小村雪岱川越市立美術館 2/25日 図録購入

講演会「小村雪岱の挿絵の描線」by真田幸治

https://twitter.com/ogatakourinpa/status/968388540819234816

https://ameblo.jp/ringean/entry-12357041448.html

 

 小村雪岱の画業を、挿絵を中心にたどる。画風の模索時期から雪岱調が確立し展開される過程を丁寧に追っており、展覧会として非常によくできていた。美しい装釘本も観ていて惚れ惚れ。最後、数点の肉筆画も楚々として柳が風に揺れるようだった。

 講演会も拝聴。雪岱調の挿絵がいかにして確立したかを解説。九九九会や資生堂入社の影響などにも触れており、興味深いお話だった。

 

 春休みになったので先月以上に美術館に足を運べるようになった。講演会に足を運べたのがよい収穫だった。明治の浮世絵や近代の挿絵画家という風に、マイナーな作家、分野についての講演の方が視野が広がるし、知らないからこそ理解の伸びしろが大きいので、かえって楽しかった。雪岱展は展示にストーリーがあって本当の意味でよい展覧会だった。国宝、重要文化財がなくても、芸能人とタイアップしなくても、よい展覧会ができるということが分かる。「琳華が選ぶ今年のベスト展覧会ベスト10」にノミネートされるかもしれない。仁和寺展は質、量ともにすごいが、下半期に大報恩寺展という同じ出開帳系(?)展覧会があるので、多分そっちにノミネートを譲るだろう 笑 (○○寺、○○のみほとけ←ネーミングも一緒だし…)