- 春から夏、やがて冬/歌野 晶午
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スーパーの保安責任者の男と、万引き犯の女。
偶然の出会いは神の思い召しか、悪魔の罠か?
これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。
――――― 「BOOK」データベースより
個人的評価 : ★★★★☆
どうやら『葉桜――』と比べられる(並べられる)ことが多いようだけど、
個人的には『葉桜――』より随分好きだった。
『葉桜――』の最後の驚きは、心地いいものだとは思えなかったからだけど。
このラストの反転にしても、「心地いい」というのとは少し違うんだけど、
これは嫌いじゃない。
「絶望」はわかる。
ただ「救済」が。
何であんな方法……、馬鹿だな……。
というのが一番だろうか。
今自分がいる環境、相手の過去と今と未来、などなど
彼女なりに「救済」について必死に考えて、
それ以外にはないと思ってのことだったんだろうけど、
それにしてもあんなやり方……。
やっぱり「救済」だとは思えないよな。
思えないのはそれがもたらした結果が最大の原因だけど。
あんな結果になってしまって、傍目には誰も救われていないように見える。
でもある意味「救済」なのかね……。
それにしたってやっぱり、
少なくとも一人真相を知る遺されたあの人の
これからの精神的負担はどうなる。