- そこにいる人/矢口 敦子
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大学生の直子には、
生後半年で肝臓に欠陥があると診断され、
長い闘病生活を送っている姉がいる。
どんなささいなことでも、姉を無視できずに生きてきた直子。
ある日、大学のコンパで谷村という男と出会い…。
――――― 「MARC」データベースより
個人的評価 : ★★★★☆
なかなかにしんどい話だったな。
ページ数が少なかったこともあって、
もっとサラッと読んじゃうものかと思ったんだけど。
生後半年で病気が発覚したせいで
過保護なくらい大切に大切にされている姉と
そんな姉(と家族)のために
色んなことを我慢し犠牲にしてきた妹。
大学に通って、たまにはコンパに行って、
そしてデートに出かけたりもする妹と
病気と心配する母親の過干渉のために
普通の若い女の子らしいことが何もできない姉。
妹から見た姉妹像は前のもので、姉から見た姉妹像は後のもの。
どちらも間違いなわけじゃなくて。
お互いのことを思っている反面、妬んだり疎ましがったり。
妹はもちろんのこと、読んでいる私も
「姉にかかりっきり」と思っていた母親も
「仕事に逃げ込んでいる」と思っていた父親も、
ちゃんと等しく姉妹を想っていることが分かって思わず泣きそうになったりも。
退院してきた母親の言葉や、直子が肝臓提供を申し出た時の言葉に。
だからこそ、最後が……。
哀しくて残酷で痛々しい。