- 水底フェスタ/辻村 深月
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村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。
突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、
村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。
だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。
辻村深月が描く一生に一度の恋。
――――― 「BOOK」データベースより
個人的評価 : ★★★★☆
3つ寄り。
残酷で怖い話だった。
「一生に一度の恋」という言葉から想像した
恋の物語とは随分違って。
広海本人も含めて、誰も彼もが何か(どこか)歪な感じ。
由貴美も、村長である広海の父も、母も、周りの村の人たちも。
本人たちがどこまで自覚してるのかはわからないけど、
「村を護るため」としてきたこと、しなかったことの
残酷さ、薄ら寒さ。
村へ追いやられたきっかけ、村に来てから門音にしたことなどなど
どうしたって好きにもなれなきゃ、共感も理解もできない達哉だけど、
従兄の口から明かされた、最後の怒りの衝動の理由、
それだけは可哀想に思えてしまった。
こうなると「広海」名前まで皮肉に思える。
狭くて閉ざされた(閉じられた)世界。
「一生に一度の恋」か……。
それほどまでの気持ちの盛り上がりが
イマイチピンとこないというかしっくりこないというか。
由貴美にそこまでのめり込むのがどうにも「?」で。
ラストのあの後、村はどうなったんだろう。