『化合』　今野敏

板橋区内の公園でイベントサークル主宰者が刺殺された。
乱れた男女関係、バブル期の借金を取り立てる金融屋、

男が執着して通った六本木のキャバクラ嬢…。
スピード解決を目指すエリート検事は容疑者を固めた。
検事主導の捜査本部に、若き警視庁捜査一課刑事は抗えるのか。
時は1990年、科学捜査の夜明けを迎えようとしていた。
―――――　「BOOK」データベースより

個人的評価　：　★★★★☆

菊川？三枝？知ってる名前だなぁ。

なんて思いながら読んで最後に思わずにんまり。
「おぉ、そういうことか！」と。

STができる前の話か。
「科学捜査の夜明け」ということではあるけど、
今回の事件では未だそれほど。

鑑識の血液鑑定が都合のいい様に捻じ曲げられたり
（そんなことが可能な隙があるということか）。

話そのものはそんなに複雑でないと思う。
どう考えても無理のある筋を押し通そうとする検事と
冤罪を防ごう、真実を明らかにしようとする菊川たちとの対立も、
殺人事件の真相、真犯人も。

そのせいもあってだと思うけど、登場人物への思い入れの方が強く。

とにかく検事にイライラ、ムカムカ。

確かに（本人の自覚はさておいて）検事は検事なりに事情があるようで、
その気持ちもまるで分からないわけじゃない。

だけどだからといってあんな捜査がまかり通ったんじゃ恐ろしくて仕方ない。
今回の検事がしたことも、鑑識課員が語った過去の例も。

全くの絵空事ではないかもしれないと思ってしまうあたりがまた恐怖。

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