- メフェナーボウンのつどう道/古処 誠二
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実務に追われる日赤救護看護婦を手伝っていた
現地のビルマ人看護婦が全員解雇された。
英印軍の攻勢により、ラングーンの兵站病院に撤退命令が出されたのだ。
約三〇〇キロの道を歩いていく
看護婦、傷病兵、在留邦人、そしてビルマ人。
さまざまな偽りを胸に進む、撤退道の先には――
温情に占められたビルマの
無情に占められた撤退道で
日本赤十字の従軍看護婦が
心の戦争をしいられる
そんな戦争小説をあなたは読んだことがありますか?
心の色は赤十字
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★☆☆
「メフェナーボウン」って何のことだろうかと思いながら読んだ。
そういうことか。
その表現、どちらかと言うとあまり好い意味では使われない気がするけど、
あの状況、あの場面ではそうするしかないんだろうな。
「正義とは」「正しいとは」なんてことを言い出すと、
それは答なんて出ない問題だろうし、
そんな議論をするのに相応しい状況・場面ではないんだろうけど、
少なくともあの状況に居合わせた(追い込まれた)人たちにとっては
「メフェナーボウン」が必要で、自分のためにも相手のためにも
そうするしかないと信じていた、信じるしかなかったということか。
「博愛精神は傲慢な概念」か……。
納得してしまいそうにもなる。
自分や家族が生きるか死ぬかの状況で、
それでも人(他人)を信じましょう、助け合いましょうというのは。
でも「傲慢だ」と捨ててしまっていいものでもないはずだし。
「宗教がケンカせずにいる国」と表現も印象的だった。