- 黙秘 裁判員裁判 (集英社文庫)/小杉 健治
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内堀優一郎は、五年前ストーカーに娘の優希を殺された。
犯人の中下が刑期を終えて出所したあと殺害され、
内堀に容疑がかかる。
無実を信じる弁護士、裁判員に選出された六人が、
検察官の有罪シナリオに立ち向かう裁判が始まった――。
犯行を否認しながら、法廷で黙秘を続ける内堀、
その真意とは!?
真実を求め闘う、迫力と臨場感あふれる法廷ミステリー。
名作「絆」に続く、著者渾身の書き下ろし。
――――― 裏表紙より
個人的評価 : ★★★★☆
3つ寄りの4つ。
事件の真相は最後を読むまで分からなかったし
そういう意味では面白かったんだけど、
感想を書くとなるとまた難しい話だな……。
内堀が逮捕された事件の被害者以外に2人が亡くなっていて
その関係者が喪った人たちに抱く想いには胸を打たれもする。
愛した人であったり、娘であったりと形は違えど、
それぞれがとても強く強く想っているのだと分かるので。
恩人を救いたい、護りたいと思う弁護士も
真剣に仕事をしてるんだろうし
実際に狙い通りの結果を得たのだから
優秀なんだろうとも思う。
ただ、それにしてもやり方がな……。
肝心なことを何も語らなかったあの人も
自ら狙ったとおり「灰色」を勝ち取ったあの人も
それに協力したあの人も。
最後も物語の終わりとしてはいい終わり方な気もする。
大切な人を亡くした人たちが、
過去を忘れるのではなくて、未来を向いて一緒に生きていこう、
というのだから「めでたしめでたし」なんだろうな。
ただ「殺人事件の真犯人を野放しのままにする」という
自分たちの作り出した状況をまるで無視して
「めでたし」な終わりを書かれても……、
と思ってしまう部分もある。
面白かったとも思うし、
「赦す」という考え方も立派だと思う。
(自分が共感なり実践なり出来るかは別として)
けど、どうにもすっきりしないというか……。