- 風をつかまえて/高嶋 哲夫
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北海道の破綻寸前の小さな町
起死回生の町おこしとして、町の小さな鉄工所が
「風車」を造ることになった。
地域と家族の再生をかけた父と子の姿を描く、
感動の書き下ろし青春小説
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
「さすがに無茶じゃ……」って思ったりもする。
元々素質はあった、と匂わされてはいるし
大学教授やら物理教師やら院生やらが
協力・指導してくれたりもするんだけど、
それにしたってとんとん拍子過ぎないか、なんて。
周りの人たち、特に姉が出来すぎちゃいないか、
とも思ってしまったりもする。
あんな目にあったのにあんな風に許せるものか。
陰で泣いて、それだけで消化できるものか。
せめて一発くらい引っ叩く位してもいいんじゃないか。
もしかしたらそれすらしないことが
相手側に重いものを背負わせる、という罰なのか?
なんて思ってしまうのは、私の人間としての器の問題か。
おまけに、読めちゃう展開だったりもする。
最初の風車はきっと……、とか。
これは想像していた以上に重大な結果ではあったけど。
周りの人たちが手を貸してくれることや
事故後の議会や町民の手の平返し、
ゴールが見えかけてからの再度の手の平返し、
ついでに藤江の最後の決意なんかも
色々と想像したとおりで。
けど、そのベタさが厭じゃない。
想像から外れやしないので驚きはないんだけど、
読んでて素直に応援出来るし、
上手くいったときには「よっしゃ!」って思ったりする。
ただ、最初の意味深な絵の件は「ん?」。
実際に町にはない風車を描いたという
その描き手が後々話に絡んできたり、
絵そのものが何かしら意味を持つのかと思ったんだけど。