2010年9月に読んだ本。 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

9月の読書メーター
読んだ本の数:27冊
読んだページ数:9095ページ

導火線 導火線
何より一番印象深く残るのは理不尽さだろうか。テロを無事に防ぐことが出来るのかというハラハラ、国を護るために闘うという正義感、無条件に信頼できる上官や仲間、どんな大義を掲げたところでいきなり水爆なんてところへ発想が行くものかという疑問、などなどいろいろあるけど一番は理不尽さ。傷ついたり命を落とすのはいつも現場の人たち、というのは物語の中ではさほど珍しくはないけど、でもそれが一番印象的。
読了日:09月01日 著者:松浪 和夫
光媒の花 光媒の花
相性の問題か、タイミングの問題か。随分サラッと読んじゃった。なかなか入っていけなくて、後々これと言って響いてもこなくて。なんだろうな……。
読了日:09月02日 著者:道尾 秀介
殺し合う家族 殺し合う家族
とにかく最初から最後まで気持ち悪い。行われることも、言うことも考えることも。貴子が富永に飲み込まれるのが呆気なくも感じる。納得できる結末かどうかは別として、確かに富永には病院が必要なのかもしれない。同じ新堂さんが実在の事件をモデルに書いた『砂漠の薔薇』『摂氏零度の少女』よりも心地の悪さは相当上。もっと読み込めば深いテーマなりが見えるんだろうか。私は気持ち悪さに負けてそれどころじゃなかったけど。
読了日:09月03日 著者:新堂 冬樹
警官の紋章 警官の紋章
感想を書こうとしたときに、あまりいい印象の言葉が出てこないな。衆人環視の中で要人を狙ったテロ、というわりにあまりハラハラしない(緊迫感をさほど感じない)とか。あまりにもくだらない上層部の人間と、そんな奴らのために真っ当な警察官が死ななければいけなかったというベタさを補うほどの魅力は感じられなかった……とか。小島百合ってあんなキャラだっけ、印象変わった?とか。一旦人の表し方に引っかかったせいで後々全部に引っかかるせいで入り込めなかったせいか?
読了日:09月04日 著者:佐々木 譲
ネバーランド ネバーランド
帯にあった“ミステリー”という感じはそんなにしなかったけど、それぞれに何かを抱えた4人は魅力的で面白かった。あとがきにあったように『トーマの心臓』とはまた違うけど、これも好きだ。男子高校生のリアルな姿や葛藤を期待して読むとちょっと拍子抜けするんだろうか。高校生らしいとは思わなかったので。
読了日:09月05日 著者:恩田 陸
摘出―Gray zone 摘出―Gray zone
脳死は人の死か、脳死者からの臓器摘出は殺人か、というテーマは興味深いし面白い。けど、話そのものはどうってことないような……。特に告発の証拠となるビデオテープの在処なんて。何で思いつきもないんだ?って読んでて少々イラついてしまう。
読了日:09月06日 著者:松浪 和夫
裁判員―もうひとつの評議 裁判員―もうひとつの評議
面白かった。ミステリーとして、と言うよりも「裁判員とは、裁判員裁判とは」という読み方だったけど。裁判員(裁判)に関して起こり得る問題が色々。裁判員裁判の進み方の問題(少なくともあの評議が人の人生・生死を決めるのに充分だとは思えない)だったり、裁判員の人間性だったり、逆に真摯さに欠けるとしか思えない裁判長(プロ側)の態度だったり、裁判員たちの精神的な問題(裁判中の個人的な悩みだとか判決後の負担だとか)。堀川と妻とその友人の件、先に書いた「精神的な」ってことに絡むものではあるんだけどどうも馴染めなかった。
読了日:09月07日 著者:小杉 健治
白い猫 白い猫
初・柴田さん。最初に収録されてた表題作で危うく脱落しかけた。結末は想像の枠を超えちゃいないんだけど、なんせ虐待の描写がしんどくて。最初がそんな強烈な印象だったから、カラスの話とか犬の話とか好きなんだけど、どうも印象が薄くて……。
読了日:09月09日 著者:柴田 哲孝
ねじの回転 FEBRUARY MOMENT ねじの回転 FEBRUARY MOMENT
「タイムスリップもの」って言葉から浮かぶイメージとは少々違ったか。アクシデント的に“戻ってしまう”んでもなく、何か目的があって自分の意思で“戻る”んでもなく、何らかの力(この中では国連)によって突然選ばれて“戻される”って。面白かったけど、少々疲れたのも正直なところ。2.26事件についていかに知らないか、覚えていないかを再認識。マツモトは結局ループして同じ人物が時間の流れの中に2度現れるってことなのか?
読了日:09月11日 著者:恩田 陸
警視庁心理捜査官 警視庁心理捜査官
図書館で偶然見つけた1冊。警察小説は好き、心理学は興味のあるものってことで惹かれて読んでみた。のはいいものの、どうにも好きになれなくて手こずった。話が詰まらん、というよりもそれ以前に、纏う(というか漂うというか)雰囲気が。どうも自意識過剰に思えて仕方ない。爽子にしても黒崎さん自身にしても。「どこが?どういう点が?」って聞かれると答えに困るんだけど、どうも。話がつまらん、ということじゃないとは言うものの、「面白かった!」ってことでもないから余計にモヤモヤなのかな……。
読了日:09月12日 著者:黒崎 視音
TSUNAMI 津波 TSUNAMI 津波
大地震が起こってからは一気に読んじゃった。津波の犠牲になった人がそんなに酷い状態だなんて知らなかった。たくさんの人命と街・国を救う(護る)ために犠牲になった人たち、あの状況ではああする以外に道はなかったんだろうし、「自己犠牲と引き換えに」というのはこれまでに他の物語の中で出会ったことはある。けど、それにしてもやっぱり読んでて辛いシーンだった。私自身も阪神大震災を経験したはずなのに、すっかり油断してしまってる。その油断が死なずにすんだかもしれない人を殺すんだな。
読了日:09月13日 著者:高嶋 哲夫
セカンド・サイト セカンド・サイト
サラッと面白かった。「サラッと」な分、後々語りたいと思うことはあまりないかも。タクトが怪我をしてピアノを止めたこととか通り魔の男がそれほどまでして花梨を探してた理由とかアキラの抱えるものとか、さほど活きてないような気も……。続編では効いてくるんだろうか。
読了日:09月14日 著者:中野 順一
心にナイフをしのばせて 心にナイフをしのばせて
本当に「更生」って何なんだろうと思う。この事件のことを知らなかったので、この本からの知識が全て。書かれた方が中立ではなく被害者遺族に寄り添った立場なので公平さに欠ける部分もあるのかもしれないけど、それにしてもAもその父親もあんまりだ。弁護士になった、という事実だけ聞けば立派に更生したと言えなくもないのかもしれないけど、被害者遺族への謝罪もなくましてあんな言葉を投げつけるとなると弁護士としての質も……。
読了日:09月15日 著者:奥野 修司
ライオンハート ライオンハート
私はダメだったな……。ダメというよりは「わからん」という感じか。美しいんだろうなとは思うんだけど、面白いとは思えないまま終わってしまったというか。嫌いだっていうのとは少し違うんだけど。雰囲気を楽しめばそれでいい、というか私はそこにしか魅力を見出だせなかった。
読了日:09月16日 著者:恩田 陸
渇いた夏 渇いた夏
好きだったのはさほど登場シーンは多くない大工の元同級生。それはつまり他(メインどころの登場人物やら話そのもの)にさほど惹かれなかったということで……。一気に読みはしたんだけど、事の真相やらは大半想像通りだし、結末もそんなに好きになれないし。とあるシーンでは顔を合わせた瞬間に主人公の男に恋に落ちる女性が出てくるんだけど、それだけの魅力が私には感じられなかったのでどうにもピンと来なくて。誰が何に渇いてたんだろう。
読了日:09月17日 著者:柴田 哲孝
ロンド・カプリチオーソ (ミステリ・フロンティア) ロンド・カプリチオーソ (ミステリ・フロンティア)
決して仲良くなりたいタイプじゃなくむしろあまり好きじゃないと思ってたあの彼だけど、それでもあの最期は哀しかったな。ましてその理由がまた。それを背負う結果になった彼ら2人もこれから辛すぎやしないか。理由が理由だけに「馬鹿だ、間違ってる」と斬って棄ててしまうのは気が引けるけど、やっぱり他に何かなかったかな。花梨の能力が話が動く中できっかけになったり役立ったりもするんだけど、その能力があまり印象に残らない。
読了日:09月18日 著者:中野 順一
退職刑事 退職刑事
短編集なんだけど、「ミイラとりがミイラになった」刑事の話が多かったかな。内容的にはサラッと軽い話じゃないはずなのに、サラッと読んじゃう。面白くないとは言わないけど少々物足りなかったかもしれない。神隠しの話が好きだったかな。『父子鷹』も最後の電話で明かされる「実は……」は想像したとおりだったけど、それでもまぁいいか。
読了日:09月19日 著者:永瀬 隼介
M8 エムエイト M8 エムエイト
間違って『TSUNAMI』を先に読んじゃったな。前半多少手こずったけど、それでも一気に読んだ。地震が起こる話だって判って読んだんだし、人の生命に関わることに真剣な人たちがただ笑い者にされるのはきっと読んでても辛いと思う。けどそれでも、地震なんて起こらない方がいい、起こりませんように、と思ってしまったりもする。
読了日:09月20日 著者:高嶋 哲夫
これ一冊で裁判員制度がわかる これ一冊で裁判員制度がわかる
「裁判員に選ばれてからあわてないために」読むなら第一章の百問百答で十分かも?なんて。解りやすくて良かったと思うけど、「そうなのか!」「勉強になった!」ということはそんなになかったかな。基本的なこと中心で。
読了日:09月21日 著者:読売新聞社会部裁判員制度取材班
時限絶命マンション 時限絶命マンション
「本当にこれで終わり!?」というのが最初。色々と気になることが山積みのまま全部放り出された感じで。結局何なんだ!?って。自分たちの命のために他人を犠牲にする、という葛藤は面白くなりそうだと思ったんだけどな。ある部屋の奴らのすることは本当に気持ち悪い。あれは自分や家族を護るためというよりも元々持ってる資質だとしか思えないからますます気持ち悪い。
読了日:09月22日 著者:矢野 龍王
図地反転 図地反転
そうか、そこで終わるかぁ……。「冤罪」というテーマは面白かった。けど、色々気になるな。あの遺族は(ついでに元刑事は)あの後どうしたんだろう。彼は目的の相手を捜し当てられるのか、その時どうするのか。再審請求はどうなったんだろう。大家さんの家族の件は解決するのか。などなど。
読了日:09月23日 著者:曽根 圭介
「藪の中」の死体 「藪の中」の死体
小説(芥川龍之介『藪の中』やエドガー・アラン・ポー『マリー・ロジェエの怪事件』など)や帝銀事件や下山事件を法医学的に見てみよう、という一冊。「初めて知った!」ってことはそんなに多くはなかったけど、面白かった。森村誠一さんの『精神分析殺人事件』、ちょっと惹かれたけど犯人知っちゃった……。他にも題材作品にネタバレがあるのでそれは注意。
読了日:09月24日 著者:上野 正彦
闇の子供たち (幻冬舎文庫) 闇の子供たち (幻冬舎文庫)
一朝一夕に解決したり事態が動く問題でないのは解るけど、それにしても意外な終わり方だった。小説(フィクション)とはいえ、あの(希望どころかその小さな兆しすら見えない)ラストもリアルだってことなんだろうか。あまりにしんどい話だった。読んで知ることは大切だと思う。ただ、精神的に弱ってる時に読むのはお薦めできない。
読了日:09月25日 著者:梁 石日
Dカラーバケーション(インディゴの夜) Dカラーバケーション(インディゴの夜)
憂夜さん……。シリーズを重ねるごとにますます謎めいていく人だ。このシリーズの何よりの魅力はキャラクターだと思うので、レギュラーメンバーが増えていくというのはあまりいいことじゃないような気も。個人的には(徳山)空也さんが好き。
読了日:09月26日 著者:加藤 実秋
ザ・ベストミステリーズ2010 (推理小説年鑑) ザ・ベストミステリーズ2010 (推理小説年鑑)
普段から読んでる方々のはやっぱり好きなのが多かった。横山さんとか道尾さんとか大門さんとか曽根さんとか。他では長岡さん、石持さん、伊岡さんあたりも好き。このシリーズ(の特に最後の千街さん)は読むと大抵「読みたい本」が一気に増えるんだけど、今回はあまり増えなかったな。
読了日:09月28日 著者:
民王 民王
親子の入れ替わりをどう理由付けるのかと思ったら、そう来たか。色んなことが上手く片付きすぎなような気もしないわけじゃないけど、それがさほど気にならないくらいには面白かった。色々と浮かぶ現実の政治家がいて、それもニヤリ。親子揃って、最初のイメージとは少々違って、父も息子もおまけに母も皆カッコよかった。
読了日:09月29日 著者:池井戸 潤
狸汁 銀次と町子の人情艶話 狸汁 銀次と町子の人情艶話
なんだかこの2人、知ってるような。と思ったら。『初鰹』をアンソロジーで読んだんだ。特に「好きだ!」ってポイントは見つからず。出てくる料理にも惹かれなかったのは私がお子ちゃま舌だからか?ついでに町子という人もイマイチピンと来ないんだよな……。
読了日:09月30日 著者:柴田 哲孝

読書メーター


柴田さんと中野さんが「初めまして」だった9月。


高嶋さんの『M8』と『TSUNAMI』、

小杉さんの『裁判員 もうひとつの評議』

あたりが印象に残ってるかな。


「いい意味で」という条件を外せば

新堂さんの『殺し合う家族』も相当印象に残ってはいるけど。